このブログを見てくださる皆様へ。

 
去年はオガサワラシジミの絶滅という悲しい出来事がありました。
いま、オガサワラシジミに次いで危機的状況にあるのが北海道・アポイ岳のごく狭い稜線にだけ生息するヒメチャマダラセセリ。
 このチョウは南アルプスライチョウと同じ理由で棲息地を失いつつあります。温暖化の影響で、砂礫地がどんどんハイマツによって浸食され、ヒメチャマダラセセリの食草となっているキンロバイやエゾキジムシロの生育地(砂礫地)が危機的なまでに縮小しているそうです。
 このまま手をこまねいていると、数年でオガサワラシジミと同じ運命をたどることが懸念されています。
 日本蝶類保全協会では、急遽、ヒメチャマダラセセリの棲息環境保存のための活動資金の募集を始めたようです。
 
 ハイマツの侵食から棲息地を保護するためのクラウドファインディング。
 チョウを愛し、彼らの生きる姿に触れることで、短からぬ人生で、彼らから多くの喜びと充足を得てきた身としては、たとえささやかであっても、蝶たちへの恩返しの思いを込めて、ぜひ協力したいと思います。
 
 このブログを見てくださる自然愛好者の皆さんも、ぜひご賛同とご協力をお願いいたします。
 詳しくは下記のリンクへ ↓

readyfor.jp

輝く♀ - ミヤマカラスアゲハ・カラスアゲハ -


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友人のS君から頂戴したミヤマカラスアゲハとカラスアゲハの蛹が毎日羽化しています。

野外で見るときは、素早く飛ぶ蝶の子細をじっくりと眺めるということはかなりの偶然でもない限り、まずあり得ませんが、日本の蝶でも一番に美しい種の羽化してきたばかりの新鮮な個体を間近に鑑賞できるのはありがたい限りです。

 

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昨日羽化したカラスアゲハ♀とミヤマカラスアゲハ♀

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ミヤマカラスアゲハ♀
♀によくみられるような、前翅に太くぼやけた模様が殆ど現れず、代わりに♂のように細い黄帯が出た個体。後翅は♀らしい赤紋が良く出て非常に美しい。仙台近郊ではこのタイプが出ることが多いようだ。

 

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カラスアゲハ♀

ミヤマカラスの派手さは無いが、しっとりと玄妙な美しさ。

大人の美・・・・なんちゃって。

 

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今朝羽化した♀。

前日に羽化したものより前翅の黄帯がさらに広く拡がった♀。
羽化直後の排泄液を放出。笑

早々と出ました - ミヤマカラスアゲハ -

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ヒメギフチョウの発生も、はやピークを過ぎ、そろそろスギタニルリシジミの撮影でも・・・と思って二日ぶりに晴れ渡ったいつものフィールドに出てみると・・・

 黒いアゲハが飛んできました。今の時期飛ぶ黒いアゲハと言ったら、ミヤマカラス以外にないはず。

頭上を素早く通り過ぎる蝶は、確認するいとまもなく遠くに行ってしまいました。ふと思いついて、民家の畑に植えられていた椿に足を向けると、やはりほかに花の無い中で、この赤い椿に惹かれて、その周りを飛んでいました。

 急いで駆け寄り、カメラのファインダーを覗く間に、このミヤマカラスは飛び去ってしまい、とっさに写したややピントの甘い写真が数枚・・

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 彼らが好きなヤマツツジの花もまだ咲いていないのですが、こんなに早くミヤマカラスを見たのは初めてです。

 いつもはヒメギフのシーズンの終わりころから出始めると思っていましたが、実際はもう少し早く出ているのかもしれません。

 

 スギタニルリシジミを撮影した後、自宅に帰ってみると友人から頂戴したミヤマカラスが一頭羽化していました。

 この蛹の羽化はまだまだ先だろうと思っていたので、驚きましたが、野外で出ているほどですから、飼育の蛹が羽化するのも当然ですね。

 

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今日羽化した見事な♂。

採集圧のもとで - ヒメギフチョウ3 -

 


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 これを撮影したのは、かつてはヒメギフが多産していたポイントで、昨年までは殆ど生息が絶えたと思われていた場所です。
 トウゴクサイシンやカタクリが勢いよく生育できる適度の日陰を提供していた大木が皆伐され、裸になった地面にはササ類が繁茂してしまいました。3年振りに発生が確認できたこの日、この個体を撮影し終わって帰る途中、大きな捕虫網を持った人とすれ違いました。棲息環境の悪化に耐えて、わずかな個体が辛うじて生き残っている場所ですが、いまでもここに出かけて採集する人は後を絶たないようです。

 

 フィールドを変えて、もっと個体数の多いポイントへ移動。
 ここには、毎年県外から入れ代わり立ち代わり採集者がやってきます。

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 ヒメギフの発生ピークは早くも過ぎつつありますが、そんな中でもたった今羽化したばかりのような初々しい♂。
 羽化して翅を伸ばし、十分に日光を浴びて活動を開始する最初の吸蜜は、蛹化して10か月もの忍従の季節を耐えてきた蝶が飢えを満たすように、じっくりと時間をかけることが多いようです。

 撮影もこの時が最大のチャンスです。

 

 広角で飛翔撮影の練習。(クリックで拡大表示できます)

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交尾も。

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産卵。
この日は、県外ナンバーの採集者を二人見かけました。
採集されてしまう前に、何度か産卵したのでまずは一安心。

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黒いギフチョウを探して

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ギフチョウは、分布が広いだけあって、微妙に異なる地域変異があります。
富山から新潟、山形にかけて密度濃く生息する個体群は、黄色の縞模様が明るい傾向で知られていますが、信濃南部・木曽谷のギフチョウは黒縞が太く、黒いギフとなるそうです。以前から、南信濃の黒ギフを見てみたいものと思っていましたが、なにせ仙台からは距離がありすぎです。

そこで、近場に黒いギフの発生地は無いものかと探していたら、新潟の某産地のギフはかなり黒い個体が多いという情報を見つけました。

新型コロナの発生率が全国一の宮城から他所の県へでかけるのに、ちょっとためらいもありましたが、どうせ人のいない山中のことと考え、出かけてみることにしました。

今年の発生は早く、黒いギフが多いというポイントは、もうだいぶ擦れ個体が多くなっていました。それに、出かけた当日は連日の高温のせいで、蝶たちは花に訪れることもなく忙しく飛び回るばかりでなかなか思うように撮影出来ませんでした。

 

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♂はメス探索に忙しく、素早く飛んでいます。
仕方なく、蝶道に当たりを付けて、置きピンでひたすらシャッターを押しまくりました。(;^_^A

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やっと一頭が日の当たる場所へ止まってくれました。
だいぶ擦れた♀で、羽化して日数が経っているようです。

山形あたりのギフに比べると、前翅の黄縞が細く、若干黒い感じの個体ですが、それほど際立って黒化したという感じではないですね。(;^_^A 

 

この場所にいつまで粘っていても、新鮮な個体は望み薄と思われたので、黒ギフはあきらめて、内陸の深雪地帯の発生地へと移動しました。

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蝶は沢山いますが・・・・気温が高く、活発に飛ぶばかり。

 

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花の傍には来るのですが、止まって吸蜜してくれません。

 

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樹の周りに絡むようにして飛ぶのを一枚。

 

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交尾カップルを発見!

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近接で。あまり絵にならないアングルです (;^_^A

 

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夕方近くになって、そろそろ帰宅時間が迫ってきたころ

やっと花に飛来する個体が居ました。

 

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ヒメギフを見慣れた目から見ると、このギフも日本海側のもとのしてはやや黒い感じがしますが、太平洋側のものはもっとずっと黒いですから、これは到底黒ギフとはいえません。

 

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同じ個体の裏側。

 

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新潟~山形の深雪地帯でよく見かける明るい個体。

ヒメギフチョウ 2

仙台地方気象台が、桜が今日満開になったと発表しました。

3月中に満開になったのは気象台観測以来初めてのことだそうで。

ヒメギフも、発生がたけなわになって来たようです。

 

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♀の姿も見えました。

 

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ナガハシスミレで吸蜜。
カタクリが豊富な今の時期、スミレでの吸蜜は珍しい。

 

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カタクリに飛来した♂。

 

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これは♀。非常に新鮮な個体です。

 

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尾部の欠損した♂も見かけました。斑紋は新鮮なので、羽化後間もない時に傷つけてしまったものでしょうか。