長雨のあとで - キベリタテハ -
西日本に多大な豪雨被害をもたらした前線の影響で、東北でも一週間以上の長雨となりました。
猛暑の後の長雨は、夏季の休眠をしていたキベリタテハやクジャクチョウの目覚めをうながし、冬眠前の活動が見られるようになります。
仙台近郊の高原でも、これらの冬越しタテハ類が一斉に活動を始めていました。
ダケカンバとヤマハンノキの混在する林の中を大きなタテハが飛びました。
キベリタテハです。
ヤマハンノキの樹液に惹かれてやってきた。
木の周りを飛びながら、樹液の場所に舞い降りる。
新鮮な♀。
吸汁の合間に、近くのサイカチの幹で日向ぼっこ。
直射日光が当たってとても美しい。
背丈2メートルほどのヤマハンノキの小枝に来た別の♀。
ヤマハンノキの傷ついた樹皮を小さなアリが細かい木くずで覆い、その中に巣を作ります。そこから樹液が染み出してきます。
このアリの巣には、他のタテハもやってきます。
ごちゃごちゃと茂った藪の中なので、葉の影がまだらに落ちていい写真は撮れないのですが、かえって自然の風情が感じられてブログ主は好きな情景の一つです。
矮性のヤマハンノキやミネカエデの低い藪の中を飛ぶ
ダケカンバの細枝がツル性の植物できつく締めあげられ、風で樹皮が傷ついて、樹液が染み出ています。
順光でまあまあの色合いに。
Tigerの親戚 - キマダラモドキ -
色合いが♂のように見えますが、実はこれは♀。
トラ模様というより、猫の茶トラ模様です。笑
今年も嬉しいことに、昨年見つけた新しいポイントに出てきてくれました。
タイミング悪く用事が重なり、2回しか撮影に行けなかったのであまりいい写真は撮れませんでしたが、恒例ってことで、少々消化不良気味の画像をアップすることにしました。(;^_^A
典型的な♀。後翅の目玉模様のあたりのコントラストがくっきり。
羽化したばかりと思われる綺麗な♀。
恐らくススキの根元から翅を伸ばして出てきたものでしょう。
同じ♀。時々飛んでは近くのススキに移って翅を開いてくれる。
♂はだいぶ擦れ気味でした。
♀の近くにジャノメチョウの♂が飛んできた。同じ♀でも種類が違うぞ。笑
何度か飛んでくれましたが、綺麗に撮れたのはこの一枚だけ。
これは別の♀。今年は♀がやけに多かった気がします。
最上川源流へ - オオゴマシジミ -
炎天下、オリンピックで暑苦しい下界を逃れて(笑)、最上川にオオゴマシジミの姿を求めて源流を遡りました。
オオゴマの撮影は、昨年まで比較的撮影機会が多い岩手の北上川の支流に出かけていますが、今回は、月山の山懐で撮影をしました。
この発生地は、4・50年ほど前はそれなりの数が見られたそうですが、その後姿を消し、近年は地元の採集者が訪れても殆ど記録がなかった場所です。
ブログ主は、4年前にごく少数の個体が細々と発生を続けていることを確認しました。一日粘っても1・2頭しか姿を見ることができない、本当に数の少ない棲息地です。
その後、毎年一度は発生状況を確認しにこの場所を訪れていますが、今年は今までにはなかったほどの個体数が見られ、この発生地がこのままの個体数を維持できるかどうか、興味があるところです。
ポイントに到着してまもなく、♂が飛び出しました。
新鮮な個体です。
♀も産卵開始。
クロバナヒキオコシの穂先に産卵し、次の食草へと移っていきます。
東北産らしい、黒味の強い♀。
産卵中の別の♀に♂が絡んできた。
どちらも非常に新鮮な個体。
渓谷の強い日差しの中、♂が盛んに求愛飛行する。
♀が♂を逃れて、近くの葉に止まりました。撮影には絶好の場所。喜;
♀は交尾拒否の姿勢ですが、追いかけてきた♂は構わず求愛を続けます。
このチョウの♂は、♀の探索飛翔を続けることが多いため、吸蜜時に時々翅を開く以外に、普通は開翅の写真がなかなか撮影できません。
こうした♀に絡む♂は、開翅撮影の最高のチャンス。
♂は前後翅が青空のように美しい空色ですが、この♀も負けず美しい。
執拗な♀の交尾拒否に♂もとうとう諦めて離れて行きました。
東北産にしては青味が強い美しい♀。
この♀は、先の個体よりは黒化していますが、岩手県胆沢川源流の♀と比べると、前翅の青色が明るい。
今年も豊産 - ムモンアカシジミ -
猛暑と共に、ムモンアカシジミの季節となりました。
他では類を見ないほどの高密度で生息するムモンアカシジミのポイントは、この場所をご自分の大切なシークレット・ポイントにしておくことを望んでおられた方の意思に反して、ある鳥類撮影者の心無い暴露ですっかり他の人にも知られてしまいました。( ;∀;)
ごく内輪だけにしていたのに、残念なことです。
葉坊主?と対話 ( ´艸`)
桜の茂みに止まった♀を目ざとく見つけた♂が絡む
カラムシの熊手のような葉上で開翅した♀。
アリがいる木に産卵に訪れた。
♂も新鮮そのものだった。
日中のあまりの暑さに、葉裏に潜り込む
炎天下の群舞。この時は10頭ほどの群飛が見られたが、写真には5頭だけが写っていた。
遠くにアオスジアゲハの影も。
2頭の卍巴飛翔。
ミドリシジミ類と違って、ごく短時間で終わってしまうので、撮影するのはなかなか難しい。
カラスシジミとミヤマカラスシジミ
ブログ主のフィールドでは、カラスシジミはミヤマカラスシジミの10日~2週間ほど早く発生します。
ところが、人目に触れるのが何故かミヤマカラスシジミのほうが早く、カラスシジミはミヤマカラスの最盛期の頃に、破損した♂やスレた♀がぽつぽつと姿を見せることが多いようです。
羽化した後の行動習性の違いからこうした現象になるのかもしれません。
カラスシジミは、ハルニレが生育している低山から奥山にかけて広く生息しているようですが、従来まで記録が少ないのは、カラスの人目に触れにくい習性と関係していると思われます。
一方、ミヤマカラスシジミは、本州中部に行くと、ちょっとした街中の公園でもごく普通に見かける蝶ですが、仙台周辺では知られたポイントは多くありません。とはいえ、ブログ主は意外な場所で遭遇する機会が少なからずありました。恐らく、スジボソヤマキチョウがいる場所ならどこにでもいると思われますが、これもなかなか人目に付きにくい行動をしているのかもしれません。
今年は、発生初期に吸蜜に訪れる何頭ものオスや♀を見かけましたが、その後ぱったりと姿を消し、撮影ができたのは二日間だけでした (;^_^A
これらの画像は出始めて初日か二日目ぐらいの個体です。
その後は、まったく吸蜜に出てこなくなってしまいました。
一方のカラスシジミ。
今年こそ、新鮮な♂を何とか撮影したいものと思って、発生初期に日参しました。
飛ぶ姿は何度も見かけるのですが、地表近くの花に降りてくることがなく、まったく撮影はかないませんでした。
結局、このようにやや鮮度の落ちた♂や♀が吸蜜に姿を見せたのは、ミヤマカラスシジミの最盛期を過ぎると思われる頃でした。
これは♂。
ヒメジョオンは通年花をつけていますが、カラスシジミはいつでも訪れるという訳ではないようです。
ヒヨドリバナに吸蜜に訪れた♀。
だいぶ擦れた様子から、羽化して数週間近くは経っているのではないでしょうか。
一部翅は破損しているものの、翅の模様の美しさは感じられます。