恵蓀林場にて ー コモンチャバネセセリ 他 ー
気候風土が違うのだから当然と言えば当然ではあるが、日本と台湾の共通種で、希少性が大きく違うことにちょっとしたカルチャーショックを受けることがあります。
日本の普通種、ツバメシジミやルリシジミやミズイロオナガシジミなどが台湾では超レアな種であることは一般的に知られていますが、オオチャバネセセリがやはり希少種であることは、ちょっと意外な感じがします。こんなササやイネ科の雑多な草を食べる種など、気温の多少の違いなど斟酌せずどこにでもいるのではないかとつい考えてしまうのですが、この種は、イチモンジセセリとは違って、どちらかといえば寒地系のササ類に依存しているらしいので、台湾の高地を除いて少ないのは当然かもしれません。
台湾にはチャバネセセリの仲間は15種もいて、私にはどの種がどのように違うのか、あまり煩雑で覚えたいとも思いません。(;^_^A そもそも地味すぎ。笑
そんな数あるチャバネセセリのなかでも、このコモン(小紋)はcommonの発音とは裏腹に希少種のひとつ(らしい)笑。
この蝶が過去に記録された場所は、台湾各地に分散的に存在するようですが、いずれの場所でも個体数は少ないとか。ただ、こうした地味な種類というのは、ついでに採集してみました的な記録が多く、本腰を入れて探してみれば、案外沢山見つかるようなこともあるのではないでしょうか。
コモンチャバネセセリ ↓
地味な蝶ではあるが、総じてセセリは何となく小動物的な雰囲気があって、好きな蝶のグループだ。
この♂は、尾端から水滴を出して吸い戻しをしている様子。
乾いた落ち葉に口吻を伸ばしている。水滴の吸い戻しで養分を摂取しているのだろうか。
今回の撮影場所は、台湾中部にある恵蓀林場。
台湾の中標高の自然植生が良く残されていて、自然保護区になっている。
渓流で吸水するホリシャイチモンジ ↓
♂しか見られないアゲハやシロチョウ類とは違って、♀も吸水に訪れる。
翅を立ち上げた姿も美しい。
翅の精悍な雰囲気は、この蝶のいかにも強い飛翔力をしのばせる。
台湾産タテハの中でも非常に大型で、見ごたえ十分。
イチモンジという名だが、前回のイナズマチョウと同じグループ。
同じところで見つけたタイワンイチモンジの♂。
羽化直後のとても美しい個体だった。
日本のオオイチモンジに近い仲間で、幼虫の姿形はよく似ている。