カラスアゲハの魅力 2  多彩な♀の個体変異

 前回に引き続き、カラスアゲハ。

 カラスアゲハの魅力は、とりわけ♀の個体変異の多様性にあります。前翅のチャコールグレーに緑色を重ねた地色。見る角度や光線によって、ほとんどビロードの黒に近いダークなものから、緑色が強く出た明るいものまで地色の変化に加えて、後翅は青色が目が覚めるような紺色だったり、水色がかった青だったり、もっと赤味が増した紫色だったり。外縁の赤紋も、紅色や朱色、鈍いオレンジ色に色とりどりで、それぞれの組み合わせが入り混じり、どれ一つ同じものがありません。

 一頭一頭の個別の違いのほかに、構造色の反射により、見る角度、光線の差し方、天候や環境による明るさなどの違いで、さらに見える印象が変わり、写真を撮っても同じ個体とは思えないほど、複雑で微妙な色合いの変化を見せてくれます。

 

 比較のために、今年撮ったカラスアゲハのメスたちの写真をまとめてアップしてみました。沢山の♀を撮影すればするほどに、奥深い美しさに魅了されます。

 

 

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 後翅の付け根にある青い紋。

バイオレットと呼びたいような気品のある紫色で、地色へのグラデーションが見事。

 

 

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 鮮やかな朱色と青い紋の対照がとりわけ美しい。

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同じ♀。下翅の青い部分は、普段吸蜜しているときは殆ど上翅に隠れているので、見えるのは吸蜜を終えて飛び上がった瞬間だけ。

 

 

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オレンジ色がかった赤い紋のサイズが大きめの♀。

下翅の青い部分は上翅の陰に隠れている。これが普段の静止形。

 

 

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上翅の地色に緑色が良く乗り、下翅の紋も青空のような明るい青。

赤紋にも青い色が載り、とても美しい。

 

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同じ個体。

 

 

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全体的に深みのある、落ち着いた色合い。

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派手さはないが、しっとりとした和服美人の艶やかさが感じられる。

 

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ビロードのような光沢で、ダークで秘めやかな美しさ。

(これはすでにアップ済みの画像ですが、比較のために再掲載。)