大雪山へ
北海道で蝶、といえば当然大雪山を外すわけにはいきません。
カラフトルリシジミを撮影後、私と友人は層雲峡へ宿をとりました。
翌日の朝、大雪山の黒岳に登るためです。
特に台湾の友人Lさんがあこがれていたウスバキチョウの撮影が最大の目標です。
しかし、残念ながら、ウスバキチョウは大雪特産の高山蝶の中では最も早く出現する蝶で、撮影がしやすい比較的標高の低い場所では、例年6月中旬から下旬にかけてが発生のピークです。
7月の中旬ともなると、すっかり擦れたり、破損した個体ばかりになってしまいます。
それでも、メスの産卵などが見たいというLさんの強い希望もあって、大雪山に出かけることにしました。
7月上旬から中旬の大雪山は高山植物の種類、量ともに圧倒的な景観を誇ります。
黒岳山頂に到着して、眼前に展開する見事な高山植物の群落に、Lさんは目を見張っていました。
とりわけ、エゾツツジの美しさには心を奪われたようで、蝶そっちのけで、花の撮影に没頭。
熱帯~亜熱帯のファウナや、台湾の高山帯の植物群落との様相の違いに感嘆していました。
エゾツツジの群落 2016/07/17 大雪山
エゾツツジ 2016/07/17 大雪山
ギンザンマシコ 2016/07/17 大雪山
雌雄のつがいが、一面のキバナシャクナゲのお花畑で餌を探していました。
オスは、日本のヒワ類の中でも一番美しいと言われます。
黒岳山頂を過ぎてすぐに、この時期にしては非常に綺麗なウスバキチョウが現れました。
しかし、私たちにカメラを構える暇も与えずに、この個体は素早く遠くのハイマツ帯へと消えていきました。
ううむ・・・残念。今の時期、この個体ほどまっ黄色なウスバキはきっといないような気が・・・。
数年前に訪れた時に一面のコマクサが生えていた砂礫地帯に行ってみました。
しかし・・・・コマクサが全くありません。
砂礫だけが広漠と続いていました。
こんな有様では、ウスバキチョウの姿など望むべくもありません。
どうしたことでしょうか。
山小屋の人に尋ねると、この数年の間にどんどんコマクサが枯れて、今ではごく一部に残っているだけになってしまった。原因はよくわからない・・ということでした。
蝶撮影の人たちが最近、大雪山と言えばロープウエイを利用できる楽チンな黒岳ではなく、雪渓があって危険な赤岳のほうへ出かけるのは、実はこうした事情があったのかと、納得しました。
とはいえ、今更ここから降りて、赤岳へ登り返すことはできません。
とりあえず、砂礫が続く平原のなかでかろうじてまだわずかに残っているコマクサの小規模な群落を探すことにしました。
コマクサ 2016/07/17 大雪山
登山道から離れた遠い場所に、わずかにこんなコマクサが点々と生えていました。
10年以上前に来たときは、地面がぼうっとピンク色に染まるほどの大群落だったのに、今は見る影もありません。
こんなちっこい群落でもウスバキはいるのだろうかと心配になります。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
行く手にやっと蝶の影。
大雪山の高山トリオの一つですが、黒岳ではこの蝶の影も非常に薄いようです。
ズームで寄せてみました。
新鮮な個体です。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
この蝶も、ジャノメ類の例にたがわず、非常に警戒心が強く、敏感です。
向かい側から来た登山者の気配に飛び立つところを予測して、シャッターを押しました。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
止まっていた岩の角度のせいで、ちょうど真横に飛び上がったので、ピントが良く合いました。汗;
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
この日は、この個体のほかに一頭を見かけただけでした。
ウスバキチョウ♀ 2016/07/17 大雪山
コマクサの小群落で待つこと30分。
やっと現れました。
僅かに残っているコマクサのそばに降りて、♀が産卵を始めました。
だいぶ鱗粉が剥げかかって、文字通りウスバ(キ)チョウという感じです。
カラフトルリシジミを撮影後、私と友人は層雲峡へ宿をとりました。
翌日の朝、大雪山の黒岳に登るためです。
特に台湾の友人Lさんがあこがれていたウスバキチョウの撮影が最大の目標です。
しかし、残念ながら、ウスバキチョウは大雪特産の高山蝶の中では最も早く出現する蝶で、撮影がしやすい比較的標高の低い場所では、例年6月中旬から下旬にかけてが発生のピークです。
7月の中旬ともなると、すっかり擦れたり、破損した個体ばかりになってしまいます。
それでも、メスの産卵などが見たいというLさんの強い希望もあって、大雪山に出かけることにしました。
7月上旬から中旬の大雪山は高山植物の種類、量ともに圧倒的な景観を誇ります。
黒岳山頂に到着して、眼前に展開する見事な高山植物の群落に、Lさんは目を見張っていました。
とりわけ、エゾツツジの美しさには心を奪われたようで、蝶そっちのけで、花の撮影に没頭。
熱帯~亜熱帯のファウナや、台湾の高山帯の植物群落との様相の違いに感嘆していました。
エゾツツジの群落 2016/07/17 大雪山
エゾツツジ 2016/07/17 大雪山
ギンザンマシコ 2016/07/17 大雪山
雌雄のつがいが、一面のキバナシャクナゲのお花畑で餌を探していました。
オスは、日本のヒワ類の中でも一番美しいと言われます。
黒岳山頂を過ぎてすぐに、この時期にしては非常に綺麗なウスバキチョウが現れました。
しかし、私たちにカメラを構える暇も与えずに、この個体は素早く遠くのハイマツ帯へと消えていきました。
ううむ・・・残念。今の時期、この個体ほどまっ黄色なウスバキはきっといないような気が・・・。
数年前に訪れた時に一面のコマクサが生えていた砂礫地帯に行ってみました。
しかし・・・・コマクサが全くありません。
砂礫だけが広漠と続いていました。
こんな有様では、ウスバキチョウの姿など望むべくもありません。
どうしたことでしょうか。
山小屋の人に尋ねると、この数年の間にどんどんコマクサが枯れて、今ではごく一部に残っているだけになってしまった。原因はよくわからない・・ということでした。
蝶撮影の人たちが最近、大雪山と言えばロープウエイを利用できる楽チンな黒岳ではなく、雪渓があって危険な赤岳のほうへ出かけるのは、実はこうした事情があったのかと、納得しました。
とはいえ、今更ここから降りて、赤岳へ登り返すことはできません。
とりあえず、砂礫が続く平原のなかでかろうじてまだわずかに残っているコマクサの小規模な群落を探すことにしました。
コマクサ 2016/07/17 大雪山
登山道から離れた遠い場所に、わずかにこんなコマクサが点々と生えていました。
10年以上前に来たときは、地面がぼうっとピンク色に染まるほどの大群落だったのに、今は見る影もありません。
こんなちっこい群落でもウスバキはいるのだろうかと心配になります。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
行く手にやっと蝶の影。
大雪山の高山トリオの一つですが、黒岳ではこの蝶の影も非常に薄いようです。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
ズームで寄せてみました。
新鮮な個体です。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
この蝶も、ジャノメ類の例にたがわず、非常に警戒心が強く、敏感です。
向かい側から来た登山者の気配に飛び立つところを予測して、シャッターを押しました。
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
止まっていた岩の角度のせいで、ちょうど真横に飛び上がったので、ピントが良く合いました。汗;
ダイセツタカネヒカゲ♂ 2016/07/17 大雪山
この日は、この個体のほかに一頭を見かけただけでした。
ウスバキチョウ♀ 2016/07/17 大雪山
コマクサの小群落で待つこと30分。
やっと現れました。
僅かに残っているコマクサのそばに降りて、♀が産卵を始めました。
だいぶ鱗粉が剥げかかって、文字通りウスバ(キ)チョウという感じです。
ウスバキチョウ♀ 2016/07/17 大雪山
一旦ハイマツの中に入り込むと、なかなか探し出すのは難しい。
Lさんは根性でこの♀を探し当ててくれました。
大雪3蝶のうち、今回は2種類を撮影できましたが、もう一つのアサヒヒョウモンは黒岳山頂付近で2度、素早く飛ぶのを見ただけで、近くに寄って撮影することはできませんでした。
今後、黒岳周辺での大雪3蝶の撮影は、ますます厳しいように思われます。
昔あれほどいたダイセツタカネヒカゲも、2頭見ただけ、ウスバキも同じ個体が何度も現れるだけで、個体数はとても少ないようです。
こうした国立公園の植生が手厚く保護されている場所であってさえ、こうした遷移が避けられないとすれば、低地における蝶たちの先行きを思うに、まことに心細いものを感じます。
このあと長野に移動してから、その思いは一層強くなりました。
一旦ハイマツの中に入り込むと、なかなか探し出すのは難しい。
Lさんは根性でこの♀を探し当ててくれました。
大雪3蝶のうち、今回は2種類を撮影できましたが、もう一つのアサヒヒョウモンは黒岳山頂付近で2度、素早く飛ぶのを見ただけで、近くに寄って撮影することはできませんでした。
今後、黒岳周辺での大雪3蝶の撮影は、ますます厳しいように思われます。
昔あれほどいたダイセツタカネヒカゲも、2頭見ただけ、ウスバキも同じ個体が何度も現れるだけで、個体数はとても少ないようです。
こうした国立公園の植生が手厚く保護されている場所であってさえ、こうした遷移が避けられないとすれば、低地における蝶たちの先行きを思うに、まことに心細いものを感じます。
このあと長野に移動してから、その思いは一層強くなりました。