豹紋蝶など

 北海道と本州の共通種として面白いのは、ヒョウモンチョウとコヒョウモンです。
 北海道以外では、ヒョウモンチョウは、本州北部(岩手・秋田・青森)と中部地方に、コヒョウモンは中部地方のみに分布していて、 どちらも北海道のものとは別亜種とされているようです。

 ★ ヒョウモンチョウ
 ・北海道・東北亜種 Brenthis daphne iwatensis
 ・中部亜種       B.d.rabdia

 ★ コヒョウモン
 ・北海道亜種 Brenthis ino mashuensis
 ・中部亜種   B.i.tigroides

 この二つのヒョウモンは、今回のサブ的なターゲットでもありました。 
 残念ながら北海道のコヒョウモンは姿を見せませんでしたが、長野では天候に恵まれたこともあって、どちらも撮影することができました。


まずは、上高地コヒョウモンから

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コヒョウモン 2016/07/21 上高地
本州中部亜種は、名前の通り、ヒョウモンチョウよりは一回り小型です。

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        コヒョウモン 2016/07/21 上高地
        本州亜種は、北海道のホソバヒョウモンあたりとほぼ同じぐらいのサイズ。
        北海道のコヒョウモンはヒョウモンチョウと大きさがほとんど変わらない。

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コヒョウモン 2016/07/21 上高地
ビジターセンターの周囲にあるクガイソウで吸蜜。

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コヒョウモン 2016/07/21 上高地
翅の丸みがとても可愛らしい。

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コヒョウモン 2016/07/22 上高地・岳沢


ヒョウモンチョウ
まずは北海道・東北亜種から

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ヒョウモンチョウ北海道・東北亜種 2016/07/19 網走湖

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ヒョウモンチョウ北海道・東北亜種 2016/07/19 網走湖

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ヒョウモンチョウ北海道・東北亜種 2016/07/19 網走湖



次に、本州中部亜種


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ヒョウモンチョウ本州中部亜種 2016/07/23 湯の丸

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ヒョウモンチョウ本州中部亜種 2016/07/23 湯の丸
これは浅間山系のヒョウモンチョウ
北アルプスのものと比べるとヒョウ柄の斑紋が心なしか細い感じがする。

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ヒョウモンチョウ本州中部亜種 2016/07/23 湯の丸
羽化したばかりの♀に♂がやってきて、交尾が始まった。


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ヒョウモンチョウ本州中部亜種(白化異常型) 2016/07/23 湯の丸
面白い色合いをしたヒョウモンチョウを見つけた。

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ヒョウモンチョウ本州中部亜種(白化異常型) 2016/07/23 湯の丸
白っぽいので、羽化してから日にちが経過したスレ個体かと思ってよく見ると、極めて新鮮な♂でした。
非常に珍しい白化個体のようです。

しばらくこの白いヒョウモンチョウを追いかけて連射で飛翔を狙いました。
通常は、連射してもピントが合うのはせいぜい一枚、運が良ければ数枚撮れるときもあります。
この白化ヒョウモンチョウを何度も連射しているうち、花から真横に飛んだ瞬間を連射したときに、ほとんどピント外れのないショットが5枚連続で写りました。
そこで、昔カシオのコンデジで「パスト連射」をして撮った写真を合成して遊んだことを思い出し、今回は合焦した5枚を合成して一枚の飛び写真にしてみました。

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ヒョウモンチョウ本州中部亜種(白化異常型) 2016/07/23 湯の丸
5つのショットを合成。
蝶の飛ぶ軌跡が綺麗な弧を描いています。

今回、北海道と本州中部のヒョウモンチョウを追いかけてみて感じたことがあります。
どこも、数年前に比べて異常なほどに個体数が少ないのに驚きました。
上高地湯の丸山のヒョウモンチョウは以前と変わらないと思いましたが、それ以外の場所では同じぐらいに沢山いた場所で、ほとんどその姿を見ることができませんでした。

一体どうしたことでしょうか。
湯の丸山のヒョウモンチョウは沢山いましたが、一方ではかつて沢山いたギンボシヒョウモンやコヒョウモンモドキの姿がさっぱり見えませんでした。
なにか、重大な事態が日本の自然界に進行しているのではないかと不安を感じてしまいました。





最後は、今回の旅行で唯一見ることができたコヒョウモンモドキの証拠写真
この数年、ほとんど姿を消したと言われている霧ヶ峰コヒョウモンモドキです。

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コヒョウモンモドキ 2016/07/23 霧ヶ峰高原
コヒョウモンにしては小さい過ぎる・・と思ってよくよく見ると、なんと霧ヶ峰では超貴重となってしまったコヒョウモンモドキでした。

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コヒョウモンモドキ 2016/07/23 霧ヶ峰高原
惜しいことに、左前翅が一部破損しています。
それでも、この♂は元気に飛んでいきました。

まだ生き残っていることに胸をなでおろしたものの、見たのはこの♂一頭だけで、この地のコヒョウモンモドキの行く末が心配です。