やはり消滅? - ツマジロウラジャノメ -

 昨年秋に見つけたツマジロウラジャノメのポイントには、その後何度か様子を見に行きました。
 第2化の個体がいないものかと、淡い期待を抱いて、8月下旬から9月中旬にかけて、何度出かけてみても、やはり一頭の姿も見ることができませんでした。
 残念なことですが、やはり6月初旬に、採集者によって根こそぎ採集されてしまった結果、この場所からは消滅してしまったようです。
 この蝶は、食草の特殊性もあって、非常に狭い場所に局所的に生息していることが多いので、一つの発生地の個体数はごく限られているのが普通です。
 特にこのポイントは、吸蜜植物が低い場所にしかないため、この発生地のツマジロウラジャノメのほとんどは手の届くような下に降りてきます。撮影しやすい最高の場所でしたが、採集者にとっても実に採りやすい場所だったことは間違いありません。一日粘れば、そこで発生している個体のほとんどすべてを採集することも簡単にできてしまえるようなところでした。

 しかしそれにしても、見つけたらすべて採るというその採集者の気持ちが私には理解できません。
 次の楽しみを残しておこうとどうして考えないのか。
 仮に、ネット・オークションなどで売ってみたところで、金額などたかが知れたものです。些少な小遣いを稼ぐために、宮城では希少な一個体群を根こそぎ採り尽くすなど、その行為の愚かしさに悲しくなります。

 仕方なく、8月以降、私はまた振出しに戻って、別の棲息地を探して歩きました。
 その結果、個体数は少ないものの、一日に何頭かは目にすることができるポイントをみつけました。
 昨年のポイントに比べると、棲息数はわずかで、撮影環境としても雲泥の差がありますが、私にとってはこの蝶を撮影できる唯一の場所です。
 ここは当分、私だけのシークレット・ポイントとして誰にも内緒にしておくつもりでいます。
 画像をアップするのも、発生シーズンが終わるのを待ってからにすることにしました。

地図で候補地をあちこち訪ねながら、やっとまたこの蝶を探し当てました。
昨年の、いまは失われたポイントを発見した時以上に嬉しく感じました。

次に現れたのは、左後翅が破損した個体ですが、結構新鮮な♀

出てくるのはすべてメスばかり。
この発生地の最盛期は、撮影日よりおよそ10日~2週間程早い時期のようです。

              この蝶が一番好むのは、ニガナやアキノキリンソウなどの黄色い花ですが、
      この場所は日陰が多く、日当たりのよい場所に咲く黄色の草は生えていません。
      

昨年のポイントと違い、日照時間が短く、暗い。
      高速のシャッターを切って飛翔を撮るには、非常につらい場所。
      この時は晴天で、照度はそれなりでした。

この時期にしては、擦れも欠けもない綺麗な♀。
シラネセンキュウの白い小花に吸蜜に来た。

キイロスズメバチに追い立てられる♀。
曇天に早いシャッターを切ったので、デティールが荒い感じになってしまった。

満足のいく写真が撮れないうちに、今年はこの場所のシーズンは終わってしまいました。
来年の第1化が出るのを楽しみに待ちたいと思います。
今度こそは、採集者には見つからず、誰にも採集されないことを願っています。