本州・最果てに生きる - カバイロシジミ -

 弘前のアカシジミの大発生に感激した翌日、せっかく遠征するのだからというので、津軽半島を目指しました。
 目的は、本州唯一のカバイロシジミ棲息地。
 カバイロシジミは北海道全域に、広く薄く分布している蝶ですが、ブログ主は、北海道に通うこと5回目にして初めてカバイロシジミを撮影しました。
 道東の原生花園には安定した発生地がありますが、ほかはこれと言った明確なポイントが少なく、生息地と言われる場所に行っても、見かけるのはヒメシジミばかり。2年前、やっと遠軽町と札幌市の郊外にある草地でカバイロシジミを撮影することができました。
 
 陸続きとはいえ、本州のカバイロシジミは、遠隔地ゆえに、なかなか簡単には出かけられずにいました。
 実際には、車で6時間もかかります。北海道の方が簡単に行けちゃうという距離です。笑
 そんなわけで、今回、やっと本州産カバイロシジミを見に出かけたというわけです。

 本州のカバイロシジミは、発生期間が一定せず、5月下旬からだらだらと9月初めまで長い期間にわたって見られるそうです。ただし、個体数が少なく、どの時期に出かけてもぽつぽつと新旧の個体がわずかにいるだけです。とはいえ、発生のピークはあり、6月の下旬に観察頻度が高くなるようです。

 
津軽半島の北端から伸びる、険しい海岸線。
本州のカバイロシジミは、日本海の厳しい風が吹きすさぶ断崖に生息しています。

    岩が露出する荒涼とした岩棚に、シロウマアサツキの群落が花を咲かせていました。

♀がいました。
津軽半島では、♀は見つけにくいとされていますが、とてもラッキーでした。

とても新鮮な個体です。

産卵のために、食草の周りを飛び回る。

         この発生地の食草はヒロハノクサフジ  道南と本州のカバイロだけが食べています。        

飛翔のアップショット



頻繁にヒロハノクサフジに産卵する

翅表の青い部分は、本州産が一番小さくて、黒い縁が太くなります。
後ろ翅には付け根部分にしか青い鱗粉がなく、ほとんど真っ黒です。
北へ行くほど、青い面積が大きくなります。

参考までに、これまで撮影した北海道のカバイロシジミと比較してみます。
札幌市郊外のカバイロシジミ
ちょっと飛び古した♀で、わかりにくいですが、竜飛のものより黒い縁がやや狭くなっています。
後ろ翅には、青い鱗粉が外縁にまで載っています。

         オホーツク側のカバイロシジミ
    日本産ではもっとも青い面積が広くて明るく、黒い縁が細くなります。