夏の隠遁生活者  - オオヒカゲ -

 今年の仙台は、6月中旬から毎日20度を下回るような肌寒い日が続いています。
 野外へ出ても、動き回る蝶は皆無のありさま。とはいえ、時期が来れば羽化は始まるようで、この涼しすぎる気候の中でも例年通り、オオヒカゲの季節はやってきました。

 今年は、個体数が異常と思えるほど多いようです。
 一歩草むらに歩を進めるたびに、わらわらとこのデカいヒカゲが飛び出す感じ。
 羽化ほやほやの個体ばかりです。

 寒さのせいで、羽化しても飛ぶこともせず、草藪のなかに止まっているのですが、図体がデカいくせに、思ったほど目立たず、足元から大きな蝶が飛び出してきて初めて気が付きます。

 写真を撮ろうと思って近づいても、非常に敏感でなかなか近くまで寄らせてくれない気難しい蝶ですですが、大きさと言い、キマダラモドキの仲間らしい翅のベルベットのような色合いがとてもいいと思います。

7月初旬、この発生地では一斉に羽化してきました。

       草むらに一歩踏み出すごとに、羽化して羽を伸ばしているオオヒカゲが目につきます。
       止まっている草は、食草のカサスゲと思います。

羽化して間もないというのに、例によってとても敏感で、なかなか近くに寄らせてもらえない。
気難しい蝶です。


       重苦しい曇天の草むらは、さらに暗く、飛翔を撮るにはかなりきつい。
       明度の補正をしながら、無理やり1/4000のシャッターを切りました。
       この個体が特に黒っぽいせいもありますが、かろうじて翅表のデティールが出ました。
       一見、ジャノメチョウかと思うような個体です。でも、サイズははるかに巨大。

同じ環境でも、明るい個体は、こんな風に、よりキマダラモドキに似た感じになります。


 翅の大きい割には、入り組んだ草藪が好きで、飛び立つときには羽ばたいて狭い草の間を裏返しになりながら出てくるのが面白い。

上と同じかなり明るい♂です。

これも黒っぽい♂。
個体変異の幅が大きく、撮影も楽しい蝶です。