盛夏 2 - ムモンアカシジミ -

 ここ数年、ムモンアカシジミを見かける機会が減っています。
 3年前までは、毎日ポイントへ出かけるたびに、必ず地表近くや、低木の葉の上に羽を休めている姿を見つけることができました。しかし、その後、数が少なくなり、昨年もその前の年も、たった数回、ちらっと目撃しただけでまともな写真を撮ることができませんでした。

 そんななか、別の発生地でムモンアカを数頭見ることができました.
  去年は、そこに数日通っても、いつも高い樹上にいて、近接で写真を撮ることができないまま、シーズンを終えてしまいました。
 今年は、いざ発生がはじまってみると、当初想像していた以上に個体数が多いことが判りました。 
 最初の♂が♀を求めて飛び始めると、次々につられて他の♂が飛び始め、なんと同時に10頭も飛んでいます。
ムモンアカシジミを同時にこれだけの数を見たのは初めてです。
 長野あたりでは、複数の♂が木の梢を飛ぶ姿を見かけるという話を聞いて、居るところにはいるんだなとあまり現実感もなかったのですが(笑)、ミドリシジミみたいに3・4頭の♂同士が卍巴の飛行をするのを見て、驚いてしまいました。周囲には発生木と思われる木が最低でも4・5本はあるようです。ここで個体数が多いのも当然のように思えました。

 この蝶は、仙台近郊では少なくなりましたが、全国的にも発生地が減少しているらしく、 「フィールド図鑑 日本の蝶」では、最初の版では、希少度の評価は★★★でしたが、最近増補改訂された版では★★★★とワンランク上げられています。やはり、どこも減少が激しいのでしょう。

 うだる暑さの中、3年ぶりにムモンアカシジミを心行くまで写すことができました。 
 この豊かな地のムモンアカシジミが、いつまでも安泰でいて欲しいと願わずにはいられません。

昼さがり、♂が暑さを避けて下に降りてきた。

一点の汚れや欠損の無い、非常に新鮮な♀。

どの個体も同じように、みな新鮮で美しい。
盛夏の木陰でオレンジ色がよく目立ちます。


♂が下草から飛び上がったところ。
普段はなかなか見せてくれない翅表がきれいに出ました。

ムモンアカシジミの卍巴の飛翔を始めて見ました。
この日は、林のあちこちでこんな♂同士の絡みがみられましたが、
ときには、6頭が一丸となって追いかけあっているのを見て驚きました。

初めて目にするムモンアカの複数飛翔をなんとか写そうとしましたが、
残念ながら、ピントはイマイチ。汗;


暗い中で、高速のシャッターを切ったところ
ちょうど木漏れ日が当たった位置だったことも相まって
ムモンアカの朱色が、濃い赤い色に

たまには変わった絵柄を、と考え
友人が構えるカメラを手前に入れて、連射してみました 笑

飛翔の軌跡は翅の向きががバラバラで、一見無秩序に見えますが、蝶の頭部をつないでいくと
綺麗な放物線状の円弧を描いていることが判ります。


下草で羽を休める♀。
生命というものの完全な美が、この蝶のすべての細部からにじみ出てくるようです。