ベルベットの風合い - カラスアゲハ -

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マルバダケブキで吸蜜するカラスアゲハ♂

 

 

 ブログ主が勝手に「アゲハの天国」と呼んでいるフィールドがあります。

 以前のブログで書いたことがありましたが、この山域一帯は、スギの植林地とコナラ主体の雑木が混在しています。スギ植林地の周辺にカラスザンショウがあちこちに生えていて、30年以上にもなろうかという大木も10本ほどあります。

 暗い林内は一面コクサギが優占種となっていて、イヌザンショウや普通のサンショウもいたるところにあります。キハダも大木が何本かあり、若木の小規模な林もあります。

 カラスザンショウとキハダは、野鳥の糞で拡散したと思われる実生が一面にはえている斜面があるなど、柑橘系を食べるアゲハたちにとっては天国のようなところではないかと思っています。

 

 この「アゲハの天国」で、今年もカラスアゲハをはじめ、いろんなアゲハチョウを追いかけました。

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今年初めて見かけたカラスアゲハの♀
後翅の青色部分が空色の非常に美しい個体でした。

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同じ♀。カラスアゲハは個体変異に富み、写すのが楽しみです。

 

 

f:id:OTTOmustache:20210602083813j:plain♂も変異が面白い。

このような一見ミヤマカラスアゲハと思うような、前翅に黄金色の帯を持った♂を今年も見つけました。

 

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これが一般的によく見られる♂。

緑色の地色が美しいですが、通常、黄色帯は明瞭に発達しません。

後翅の赤い肛角紋の出方も弱い。

 

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ミヤマカラスもどきの♂。

 毎年こんな♂を見かけますが、後翅の赤い肛角紋が綺麗に出ることが多いようです。

 ほかの地域のカラス春型をあまり見た経験がないので、よくわかりませんが、これは、この地域限定の変異なのでしょうか。

 藤岡大図鑑には同じような変異の奥多摩産♂の標本がわざわざ掲載されているところを見ると、全国的にみてもあまり多くないのかもしれません。

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このミヤマカラスもどきの♂が、吸蜜していた通常♂に急降下して絡んできた。面白い絵に。( ´艸`)

 

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毎年のことではありますが、♀の複雑な美しさにも魅了されます。

 

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青空のもと、アザミからアザミへと飛び移っていく。

 

 

 

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後翅が鳥に無残に食いちぎられたと思われる♀を♂が追いかける。

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2頭のジグザグ飛翔。



 

 

電光石火 - アオバセセリ -

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青緑に輝くビロードの光沢。

 

 いつものポイントで1週間以上も待機していたのに、今年はさっぱり姿を見せません。この場所はあきらめて、友人から聞いた別のアオバの発生地で撮影しました。
 この場所では、ミツバウツギが数本しかなく、その周辺で発生したアオバセセリはこの数本めがけて舞い降りてきます。
 この蝶の飛ぶスピードたるや、文字通り電光石火。目にもとまらぬ速さで、動体視力がとみに落ちたロージンは目で追うのは大変です。
 数がそこそこなのはいいとして、やっと花に来たと思っても、オスが他の個体を見つけると猛然と追い回し、ピント合わせに手間取っているうち、あっという間に飛び去ってしまいます。(;^_^A
 
 それでも、何とか撮影にこぎつけることができたのは、有難い限り。
 どの個体も新鮮できれいなものが多く、新緑の中を我が物顔に飛び回るアオバセセリの生き生きとした姿を満喫できました。

 

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いつもの高速シャッターではなく、スローで。
両翼の端がブレて、高速で羽ばたいている感じが出ました。

 

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口吻のゼンマイを解き、ホバリングしながら、花に近づく。

 

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吸蜜していても、近くを飛ぶ仲間に気づくと、猛然と追いかけます。

 

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この蝶を下から仰ぎ見ると、まるで三角翼のジェット機

 

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サーカスみたいに、上の花から下の枝へと飛び移る。

 

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とても新鮮な個体。
アオバセセリは飛ぶ力が強いので、ビロードの美しい翅も、鱗粉が剥げ落ちて擦れてしまいがちです。この美しさは、発生初期ならではのものですね。
( ↑ クリックで拡大)

羽衣のアゲハ - ウスバシロチョウ -


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空に溶け込んでしまいそうな透明な翅。
「羽衣のアゲハ」と呼びたいほど清楚で儚い感じがします。

 

 

5月に入っても、4月同様、例年より温暖な日が続いています。
ウスバシロチョウもいつもの年より2週間も早く飛び始めました。
夏のような日差しが差す中、何年かぶりに尋ねたフィールドでは文字どおり「ワンサカ」と言いたいほどのウスバシロチョウが飛び回っています。

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コンロンソウで吸蜜

白い花が大好きで、ハルジョオンとのツーショットが多いのですが、某友人が、外来植物ではない花との組み合わせで写真を撮りたいと言っていたことを思い出しました。

 

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この時期、ミツバウツギも花を咲かせます。
花を求めて小高い藪を越えて飛ぶ。( ↑ クリックで拡大)

 

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♂たちは♀を探すのに忙しい。
白い動くものを見つけると、急降下して絡んでいきます。
手前が♀。

 

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♂同士が卍巴にもつれ合うことも多い。

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時には、異種間の絡みも。
ヤマトスジグロ♂と。

 

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ハナアブのような小さな虫を追いかけることも。

 

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産卵のため、フキの葉の間や下をくぐり抜けて、地面すれすれを飛ぶ♀。

 

 

ヤマツツジの林で - ミヤマカラスアゲハ♀など -

 ヤマツツジ開花の最盛期に同期して出てくるはずのミヤマカラスアゲハは、今年はヒメギフと殆ど変わらないほどの早い発生を見せて、♂はもう綺麗な個体が殆どいません。

 結局、♂の綺麗なものには出会わないままに、次のステージに季節は移っていきます。 

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ツマキチョウのペア。

この2頭が高く舞い上がった先を追いかけると・・・

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樹上で交尾が成立していました。

見上げる高さなので、こんな写真しか撮れません。(´;ω;`)

 

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ヤマツツジで何やら羽ばたいているのでよくみると・・・

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ミヤマカラスアゲハの♀でした。

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ミヤマカラスの春型♀には、なかなか遭遇できません。極めてラッキーでした。

 

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オナガアゲハも出始めました。

 

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コチャバネセセリ。
ど普通種とはいえ、新鮮なチョウは実に美しい。

 

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いよいよカラスアゲハのシーズン。

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♂のピカピカな画像が撮れたのも一年振りです。

♀も出始めたようなので、これからが楽しみです。

晩春のススキ草原 - ミヤマチャバネセセリ ほか-

 

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ベニシジミ 

曇り空の地味な景色の中で羽を広げてくれた春型。
紅色がとても綺麗です。

 

 

  春は駆け足に過ぎ去り、もう季節は晩春の気配です。

 どんよりとした重苦しいお天気でしたが、新芽が萌え始めたススキの草原に出かけてみると、いつもなら、5月下旬ごろから出始めるギンイチモンジセセリがもう姿を現していました。

 羽化後間もない綺麗なものもいれば、驚いたことに、もうだいぶ擦れてしまったものまでいます。

 やはり今年は、蝶のカレンダーがだいぶ忙しいようです。

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新鮮なギンイチ 

 

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すでにいくらかスレ気味のものも・・・ 

 

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ここの草原は広い割に、ギンイチの個体数はまばらです。

 

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枯草の藪を潜り抜けるように飛ぶ

 

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ちょっとピントが甘かった。はは (;^_^A

 

出ました。 この日のターゲット。

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 ミヤマチャバネセセリ

 

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ギンイチの最盛期に見かけるミヤマチャバネは、多くの場合破損やスレ個体が目につきますが、恐らく、ギンイチの発生に先んじて羽化するものと思われます。( ↑ クリックで拡大)

 

 

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夏に出るものは、新鮮な個体を撮影したことがありますが、春型は綺麗なものを写す機会がありませんでした。

 

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この日出てきたただ一頭のミヤマチャバネですが、超ピカピカの美しい♂でした。

 

アゲハの季節がまた - アゲハチョウほか -

 

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ヒメギフも最盛期を過ぎ、野山はアゲハチョウたちの季節へと巡ってきました。

ヤマツツジも今が盛り。アゲハチョウやミヤマカラスアゲハの♂たちが、元気よく小高い丘の上で飛び回っています。 

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アゲハチョウのオス同士の追いかけっこ。
時には5頭もの乱舞になることもあります。

 

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ミヤマカラスアゲハの♂も飛んできますが、殆どの翅が大破し、見るも無残に破損しているものばかりです。

 

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特に後翅の破損がひどく、多くは尾状突起が無くなっています。
恐らく山頂を飛び回っているオスたちは、鳥たちの絶好のターゲットになっているのに違いありません。

 

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鳥たちは、蝶の頭部を狙って襲っているつもりでしょうが、じつは、後翅の目立つ赤紋と尾状突起を目や触角と錯覚し、後翅を食いちぎっているだけ。蝶たちの巧みな生き残り戦略、というわけです。