初夏に向かって 1 ウスバシロチョウ

 蝶を撮影するようになって、やはり種類によっては、なかなか絵になりにくいものがあると感じます。
ギフチョウやクモマツマキチョウのような、実によく写真の見栄えがするものや、シロチョウ類や、ジャノメチョウの数種、ヒョウモン類、チャバネセセリのグループなどのように、単に普通種だからということではなく、動きのある飛翔の写真などを撮ってみてもいまいち華がない・・という蝶たちもいます。
 どんな被写体であれ、写し方ひとつで絵になるはずだ、との思いもあるものの、やはり好みが出てきてしまうのはやむを得ないかもしれません。

 私にとっては、被写体として非常に魅力があるのは、アゲハの仲間たちです。
 飛翔のダイナミックな力感、その飛翔力にふさわしい、しなやかなカーブを描く前翅。
 複雑な色を平行に配列して、多くは尾をもつ美しい後翅。
 まるで表情が判るかのような、触角と口吻と脚の明瞭な動作など・・
どれ一つとっても、写真の一枚一枚にその瞬間、その蝶ならではの個性が見えるような気がします。


 今回から数回に分けて、最近撮影したアゲハの仲間たちをアップしてみたいと思います。


ウスバシロチョウ
 このアゲハは類縁的には、ギフチョウなどに近い蝶です。
 ヨーロッパやヒマラヤにいる同じ仲間のアゲハにはまだ残っていたギフチョウ的な赤や青の斑紋をどんどん消去してしまい、東アジアの東端で完全な白と黒になってしまった種類です。
 飛び方はギフチョウ以上に緩やかで、小刻みに翅を上下に震わせて、ふわふわと漂うように飛ぶので、撮影は簡単です。が、この蝶はシロチョウ以上に淡いモノトーンな雰囲気で、絵にするのが結構難しいアゲハだと思います。

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ウスバシロチョウ♂ 2015/05/11 仙台市青葉区
羽化してやっと翅を伸ばしきった♂。
民家近くの木々に囲まれた草地で、初夏の光に包まれ、あたりの緑に溶け込んでいる。

イメージ 2
ウスバシロチョウ♂ 2015/05/11 仙台市青葉区
ハルジョオンに吸蜜に訪れた。
前翅中室・外縁の半透明な薄黒い帯がギフチョウ時代の名残をとどめているようだ。

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ウスバシロチョウ♀ 2015/05/11 仙台市青葉区
咲き競うミツバウツギで夢中になって蜜を吸う♀


この日、同じ場所で撮影したほかの蝶

イメージ 4
    ツバメシジミ♂ 2015/05/11 仙台市青葉区

イメージ 5
    ミヤマセセリ♂ 2015/05/11 仙台市青葉区

イメージ 6
    ツマキチョウ♀ 2015/05/11 仙台市青葉区

イメージ 7
    トラフシジミ 2015/05/11 仙台市青葉区