秋空晴れて・・・ - モンキチョウの黄色い ♀ -
だいぶ前に、ある友人からモンキチョウの黄色い♀の産卵か、交尾の写真が欲しいと頼まれました。
モンキチョウの♀は多くは白~クリーム色の個体が殆どで、モンキチョウの♂♀の性差の特徴の一つでもありますが、ごくたまに♂と同じ黄色のものがいます。♂と同じ色なので、その黄色いモンキが♀だと判断するには、産卵か交尾のシーンを撮るのが最も確実な方法です。
友人は、そうした♀絶対間違いなしの画像が必要だというわけです。
モンキチョウ♀の白と黄色の発現は、一対の性遺伝子の単純なメンデル的遺伝形式によるものだそうです。その劣性遺伝子が二つ重なった時だけ黄色の♀になるというわけです。黄色と白の出現率は、2世代目では1:3ですが、世代を重ねるほど約4分の1づつ出現頻度が減っていきますから、何十世代を重ねてきた実際のフィールドでの黄色♀の出現確率はかなり稀だと考えられます。
夏も過ぎ、写したい蝶の種類も少なくなったので、恒例のヤマトシジミの青♀を写すついでに、モンキチョウの黄色♀を探してみることにしました。
これは普通の白♀。♂が盛んに♀に求愛行動をしていました。
メスは新鮮でしたが、すでに交尾済みで、お尻を跳ね上げて拒否の姿勢。
一頭の♀を追いかける♂たち
交尾しているカップルを見つけました。
♂が♀を引きずるようにして草むらの上を低く飛びました。
白い、普通の♀です。
モンキチョウの交尾飛翔形式は ♀+♂→
産卵している黄色のモンキを探してみました。
いました!
見た目はまるで♂ですが、うろうろと食草の周りをとび、振る舞いがメスみたいに見えます。しばらく追いかけていると、食草に止まり産卵しました。
産卵はほんの1・2秒。すぐに飛び立ちます。
翅を広げると、♂と全く区別がつきません。右後ろばねのところにある葉に産み付けられた卵が見えます。
産卵直後の黄色♀
コマツナギの小さな葉に卵が見えています。
卵が3個。
産卵直後の卵が日差しに浮き立って見えました。
面白いのは、普通の白♀はこのコマツナギのほかにも、シロツメクサやアカツメクサ、ヤハズソウにも産卵していますが、この黄色♀はコマツナギだけに産卵して、他の草には全く関心がないようです。
産卵後、吸蜜する♀に♂が寄ってきた。
これだけでは、♂同士にしか見えません。
飛び立つ黄色♀を追いかける♂。
2頭とも翅を水平に振り下ろしているので、胴体が良く見えています。
♂と♀では尾端の形に明確な違いがあります。上♀、下♂
この♀が産んだ卵から孵った♀のうち、交尾相手が仮に優性遺伝子だけの♂であれば0、優性劣性の♂であれば4頭に一頭は黄色♀になるはずですが、それらのどれぐらいの数が無事蝶まで成長できるでしょうか。