初夏に向かって 番外編 チャマダラセセリ

 先日、岩手のチャマダラセセリを見に出かけました。

 チャマダラセセリはブログ主にとっては、積年の思いがこもる蝶です。
 今から10年前には、仙台市郊外や宮城県内の多くの場所に沢山いたそうです。
それが、いつのころからか姿を消し、どれほど探し回っても出会うことが出来ません。
4年前から、きっとまだどこかに生き残っているはず・・との思いで、かつての発生地周辺を歩き回っては失望の日々を重ねてきました。

 不思議なのは、場所によってはキジムシロやミツバツチグリが豊富に自生している一定規模の草原があっても、チャマダラセセリだけがいないことです。
 そして、軌を一にするように、宮城県だけでなく、日本中の発生地でも同じ状況で、現在でもチャマダラセセリが生き残っている場所は、本州では片手で数えるほどしかありません。

 今年は、季節の進み方が異常に早く、チャマの発生も早くなるだろうと、少々のフライング覚悟で出かけました。
チャマ、いました。
でも、非常に数が少ない・・・・・
初日は、目撃一頭のみで撮影できず。
2回目は、一日粘ってシャッターチャンスがたった5回。
3回目で、少ないながらも、やっとそれなりに写真を撮った、という感じでした。

 こんなにいないのは、時期が早すぎるためでしょうか。
 でも、すでに♀は産卵していたり、ボロの♂がいたりしますので、発生初期とは言えないかもしれません。
いまが最盛期だとすれば、本州最後の砦の一つみたいな岩手でもチャマは消滅に向かいつつあるのでしょうか。
 心配です。

 先ずは、初めて出会ったチャマ♀

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2015/05/23

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2015/05/23

岩手のチャマの発生時期は、これまでの記録で最も早いのが5月21日。
もうメスがいたということは、今年はもっと早くから発生したということでしょうか。
黒い地色は、角度によって構造色でグリーンのベルベットに見えます。



訪花・吸蜜

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2015/05/25
チャマの食草、ミツバツチグリの黄色い花で吸蜜。

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タンポポはチャマの主要な吸蜜植物とされていますが、私が見かけたのはこの一回だけ。


この発生地では、アズマギクがちょうど花を開いていました。
チャマが来るのを期待していたら、やはり

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一つの花に止まっている時間は、せいぜい20秒ぐらい
蜜を吸い終わるとあっという間に飛び去ってしまいます。

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アズマギクにはチャマが良く似合う  なんちゃって 笑

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2015/05/23
この蝶は、人の気配や、カメラの音に非常に敏感のようです。
そっと近づいて脅かさないようにシャッターボタンを押しました。

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2015/05/25
アズマギクのお花畑をとぶチャマ
ひととき桃源郷に遊ぶ気分でしょうか。


産卵行動
メスは、食草の生えている場所をせわしく飛び移りながら、次々と産卵していく。

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          産卵は、露出した地面に生えた食草を好むといわれるが、まさしくその図。

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          この食草も葉が2枚しかないのに、わざわざこういう株を選ぶ

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          背丈10cmほどの藪から葉を開いたミツバツチグリに産卵する。

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          2015/05/23
          お腹を深く曲げて、葉裏に産み付ける

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わざわざこんな藪下に潜り込まなくても、ほかに立派な食草があるのだが、
そんな育ちのいい株にはあまり興味がないようだ。

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                        産み付けられた卵(画面中央・奥)



交尾行動
2頭のチャマが目まぐるしく追っかけを始めたので、見失わないように目を皿にして追っかけてみると・・

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          左下が♂ 右上が♀ 
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          飛び立つ♀を♂が追いかける

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ノイバラの葉先に止まり交尾を受け入れようとする♀ 


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          ♂は♀の背後で羽ばたきながら、自分の止まる位置を定めているらしい

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          ♀の脇の葉に平列に止まり、交尾器を差し延ばす♂

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          交尾器が接合した

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          ♂が体軸の姿勢を変え、交尾完成。

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赤と白

面白いことにこのカップルは、♀が見事に真っ赤で、♂は白っぽく、触角や体毛まで白い、変わった個体でした。
赤と白の鮮やかな対照のペア。
美しい!


このペアは、およそ1時間半ほど結合して離れました。
離れるところを撮ろうと思っていたのですが、他のチャマに気を採られているうちに、交尾をほどいて2頭とも姿を消していました。
頑張って、沢山の卵を産んでほしいと願わずにいられません。