追悼・2020年
今年、日本の蝶に関する最も胸が痛むトピックは、オガサワラシジミの絶滅というニュースでした。
環境庁が中心になって人工飼育繁殖を行っていましたが、数か所でリスク分散して飼育されていた個体群が時を同じくして、幼虫成育段階(脱皮不全)で次々に死滅してしまったということです。ごく少数しか得られなかった個体間の近親的繁殖のため、遺伝的多様性を失ってしまったせいだろうと推察されているようです。種保存のため人工飼育による繁殖を決断した時点で、すでに野生では5年以上にわたって棲息の確認がされていなかったようで、時期遅きに失したものと言えます。
残された成虫や幼虫の遺骸などはDNA保存のため、冷凍保存されたようですが、いちど失われた種は、2度と帰っては来ません。返す返すも残念でなりません。