トチノキの谷間で  ― スギタニルリシジミ ー

 ヒメギフチョウの発生と相前後して、低山の谷あいにはスギタニルリシジミの可愛い姿も見られます。
 ルリシジミより、全体に渋い感じですが、よく見ると翅裏のコクのあるダークな色合いも、翅表の深い紺色の輝きも美しい蝶だと思います。
 トチノキやミズキの花芽が幼虫の食草になるので、そんな木がある湿潤な雑木林の谷筋に発生します。

 湿った地面で吸水している♂を見かけることが多いですが、振り返ってみると♀はこれまで偶然に撮影したことが数回あるだけで、きちんと撮ったことがありません。
 そこで、今年は♂ばかりでなく、メスもしっかり写してみようと、何度かトチノキの谷間に足を運びました。

スギタニルリシジミ♂ ダークでコクのある色合いがいいですね。


       翅表は、ルリシジミとはちがう濃いブルー。

どうしてもこの蝶の飛び写真は青い表翅を狙いがちですが、裏面もなかなかです。





 吸水しているある一頭の♂を見ると、尾端になにか光るものが・・・
 よくよく見ると、水滴が付いていました。
 30秒に一回ぐらいで尾端から水滴が滴って、これはポンピングのようです。
セセリやアゲハチョウ類で吸水時に見かけるポンピングは、撮影の絶好のターゲットですが、
シジミチョウ類では、自分が経験する範囲では初めてです。
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水滴が地面に落下する距離は約1~2cm。
水滴が尾端から離れて空中に止まる瞬間を狙いますが、タイミングが難しいうえに、1/4000秒でもブレていました。(;^_^A
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待望の♀が現れました。
裏面は、♂より若干明るいグレーです。

      ♀の翅表は、ツシマウラボシシジミに似て、青い金属光沢に輝きます。
      その翅表を狙いますが、殆ど翅を開くことがないので、吸蜜を終えて飛び立つ瞬間を狙いますが、なかなかうまく写せません。       

これはややうまく撮れた方。
でも、金属光沢はよく出ていません。

      スギタニルリシジミの♀に、ルリシジミの♂がちょっかいをかけてきた。

メスは一向に気にせず吸蜜を続けていました。  


やっと♀の翅全開。
  金属光沢がキラりと輝くには、あとわずかに右翅の角度が欲しかった。