フトオアゲハの異態 その一
前回からのつづき
初回に続いて、2回目のフトオ・ポイントでも、曇り空の中、小雨もぽつぽつ降り始めた午後2時を過ぎてもフトオは現れません。
結局この日もダメかとあきらめて、下山することになりました。
車で山を降りている途中、突然Lさんが「寛尾(コンウェイ)がいるぞ!」と叫んで、急ブレーキを踏みました。
私もカメラを持って助手席から飛び降ります。
Lさんがカメラを構えている先に、道端に生えているセンダングサの花で吸密しているフトオの姿が見えました。
「おおっ、これは珍しい!寛尾がこの草で吸密するなんて」
Lさんは興奮しながらも、バババ・・と連写を始めています。
私もセンダングサの花を次々と飛び移っていくフトオを追いかけながら夢中でシャッターを切りました。
Lさんは
「何十年とこの蝶を見てきたけれど、これは寛尾が好きな花ではないと思っていたよ」
と興奮を隠しきれない様子。
20136/05/12 宜蘭
20136/05/12 宜蘭
夕刻の曇り空で撮影条件は良くなかった。
全体に暗い画像(汗;)ですが、記録的な意味もあるので一連の写真を乗せることにしました。
20136/05/12 宜蘭
飛び写真 無理やり1/2000秒。
フトオアゲハの飛び写真は珍しいかも。
彼の話によれば、フトオアゲハの吸密植物としてこれまで知られているのは、春はツツジが圧倒的に多く、夏はタイワンソクズに来る場合がほとんどだということで、これらは花期には背丈が最低でも1m以上ある木本類の植物です。
一方、センダングサは台湾では30-40cmほどになる草本外来植物で、台湾全土、低地から高山まで人が行き来する場所にはどこにでも繁茂しています。この外来植物は、しかし台湾の多くの蝶たちの吸蜜植物として利用されていて、言ってみれば日本のヒメジョオンみたいな草です。
オオルリモンアゲハなどもセンダングサの蜜を好みます。
しかし、フトオアゲハがこの花で吸蜜するのを、Lさんは今回、初めて見たそうです。
20136/05/12 宜蘭
20136/05/12 宜蘭
そもそも、この蝶の場合、花で吸蜜する場面に行き会うこと自体が稀なことです。
私が今まで見た印刷物や、観察記や、台湾の同好者が撮影したフトオアゲハの写真のほとんどは吸水シーンで、花で吸蜜している写真はとても少ないようです。
というのも、吸水は、条件のいい時に決まったポイントで待機していればなんとか撮影できるのですが、目撃機会の極めて少ないフトオの場合、偶然の吸蜜場面に出会うのは、その時の運しだいだからです。
羽化して日にちを過ごしたフトオアゲハは、尾の赤い色が次第に変色し、オレンジ色になります。
博物館などにあるフトオアゲハの色はこのオレンジ色の個体が多いのですが、標本の経年変化による脱色だけでなく、すでに生きているうちからオレンジになってしまうようです。
初めてフトオアゲハの新鮮な吸水個体を見た時、尾の色がピンクを帯びた紅から赤紫、日差しを浴びると真っ赤になるその変化があまりにも美しくて驚いたものでした。
私たちは、ここでも幸運に恵まれました。
しかし、このフトオアゲハは、このあと、さらに驚くべき行動を我々に見せてくれたのです。
つづく
初回に続いて、2回目のフトオ・ポイントでも、曇り空の中、小雨もぽつぽつ降り始めた午後2時を過ぎてもフトオは現れません。
結局この日もダメかとあきらめて、下山することになりました。
車で山を降りている途中、突然Lさんが「寛尾(コンウェイ)がいるぞ!」と叫んで、急ブレーキを踏みました。
私もカメラを持って助手席から飛び降ります。
Lさんがカメラを構えている先に、道端に生えているセンダングサの花で吸密しているフトオの姿が見えました。
「おおっ、これは珍しい!寛尾がこの草で吸密するなんて」
Lさんは興奮しながらも、バババ・・と連写を始めています。
私もセンダングサの花を次々と飛び移っていくフトオを追いかけながら夢中でシャッターを切りました。
Lさんは
「何十年とこの蝶を見てきたけれど、これは寛尾が好きな花ではないと思っていたよ」
と興奮を隠しきれない様子。
20136/05/12 宜蘭
20136/05/12 宜蘭
夕刻の曇り空で撮影条件は良くなかった。
全体に暗い画像(汗;)ですが、記録的な意味もあるので一連の写真を乗せることにしました。
20136/05/12 宜蘭
飛び写真 無理やり1/2000秒。
フトオアゲハの飛び写真は珍しいかも。
彼の話によれば、フトオアゲハの吸密植物としてこれまで知られているのは、春はツツジが圧倒的に多く、夏はタイワンソクズに来る場合がほとんどだということで、これらは花期には背丈が最低でも1m以上ある木本類の植物です。
一方、センダングサは台湾では30-40cmほどになる草本外来植物で、台湾全土、低地から高山まで人が行き来する場所にはどこにでも繁茂しています。この外来植物は、しかし台湾の多くの蝶たちの吸蜜植物として利用されていて、言ってみれば日本のヒメジョオンみたいな草です。
オオルリモンアゲハなどもセンダングサの蜜を好みます。
しかし、フトオアゲハがこの花で吸蜜するのを、Lさんは今回、初めて見たそうです。
20136/05/12 宜蘭
20136/05/12 宜蘭
20136/05/12 宜蘭
20136/05/12 宜蘭
そもそも、この蝶の場合、花で吸蜜する場面に行き会うこと自体が稀なことです。
私が今まで見た印刷物や、観察記や、台湾の同好者が撮影したフトオアゲハの写真のほとんどは吸水シーンで、花で吸蜜している写真はとても少ないようです。
というのも、吸水は、条件のいい時に決まったポイントで待機していればなんとか撮影できるのですが、目撃機会の極めて少ないフトオの場合、偶然の吸蜜場面に出会うのは、その時の運しだいだからです。
20136/05/12 宜蘭
羽化して日にちを過ごしたフトオアゲハは、尾の赤い色が次第に変色し、オレンジ色になります。
博物館などにあるフトオアゲハの色はこのオレンジ色の個体が多いのですが、標本の経年変化による脱色だけでなく、すでに生きているうちからオレンジになってしまうようです。
初めてフトオアゲハの新鮮な吸水個体を見た時、尾の色がピンクを帯びた紅から赤紫、日差しを浴びると真っ赤になるその変化があまりにも美しくて驚いたものでした。
私たちは、ここでも幸運に恵まれました。
しかし、このフトオアゲハは、このあと、さらに驚くべき行動を我々に見せてくれたのです。
つづく