受難の蒼 - アサマシジミ 本州中部低地亜種 -

 昨年、アサマシジミの日本産全亜種をすべて撮影するという野望を抱いたものの、片方の亜種はオスだけ、別の亜種はメスだけという結果に終わりました。涙;

 ことしは雪辱を果たすべく、先日、中部低地亜種L.s.yaginusの姿を求めて、信州へと出かけてきました。
 ほかの亜種に比べて、生息地が点在するというものの、この数年、以前に知られた発生地から次々と姿を消し、かろうじて残存している猫の額ほどの狭いポイントには、その希少性によって欲望を刺激された採集者たちが蝶の数より多く押し掛け、この亜種の存続も、ほかの亜種同様に危機的と言われています。
 今回撮影したポイントも、先週週末に採集者が入り、発生地の草むらは、食草もろとも無残に踏み荒らさていました。長野県では種指定の保護種のはずなのですが。 

 この蝶は、飛んでいるときはメタリックな青い輝きを見せるのに、止まって開翅した姿を普通に撮っても、グレーがかった重い色合いになってしまいがちです。それがまた深みがあって悪くはないのですが、なんとか羽ばたいているときに見せる輝きを写し取ってみたいものです
 しかし、これがなかなか難しい。

 ヤマトシジミ晩秋型と同様、翅の角度が水平か屋根型に開いたときの傾き具合でギラリと光るのですが、この蝶は、翅の先端を胴体より下方に垂らして静止するということがまずありません。
 やむなく飛びを狙いますが、悲しいことに、今回の遠征ではピタリときまったものがさっぱり撮れませんでした。 多少のピント外れでも、それなりに青く色がでたものでお茶を濁すことに。 ・・・ 汗;

アサマシジミ ♂ 2017/06/20
まずはもっとも標準的な、蝶の全体の雰囲気が感じられるショット。

アサマシジミ ♂ 2017/06/20
普通に俯瞰して撮った場合、青色はグレーがかった地味な感じになることが多い。


アサマシジミ ♂ 2017/06/20
これは静止写真の中では、よく青色がでたほう。

             アサマシジミ ♂ 2017/06/20
             それにしても、こんな狭いところでよくぞ生き延びているものと心配になるほどのちょっとした
       草地が発生地になっているのに、改めて驚かされました。

アサマシジミ ♂ 2017/06/20
オスの翅裏。ヒメシジミと比べると、前翅斑紋の形のほか、全体の地色がやや褐色がち。


アサマシジミ ♀ 2017/06/20
こちらは♀の翅裏。
オスよりさらに一層褐色が強くなり、赤い斑紋の帯も大きめ。
不思議なのは、狭い発生地の中でも、ごく偏った場所にだけ♀がいることです。
これは、アリとの関係が深いと言われる幼虫と、産卵する場所のアリの生息状況と関係があるのでしょうか。

アサマシジミ ♀ 2017/06/20
腰丈まであるススキのヤブの間を小刻みに飛ぶので、蝶が葉の影になってしまうことが多く、手こずりました。

アサマシジミ ♀ 2017/06/20
炎天下の暑さの中、遮るものもない草原で、この蝶たちは元気に草の間を飛び跳ねていた。

アサマシジミ ♂ 2017/06/20
翅を開いて飛び始めると非常に美しい金属光沢が煌めく。
これは、前翅の片側だけが光った。

アサマシジミ ♂ 2017/06/20
羽ばたくたびに、グレーとメタリックな青色が明滅する。
とても印象的で、この蝶のファンが多いのもうなずけます。

アサマシジミ ♂ 2017/06/20
草の上に止まると、やはりグレーな色合いに。
しかし、しっとりと落ち着いた深みのある美しさ。

        アサマシジミ ♂ 2017/06/20

アサマシジミ ♂ 2017/06/20

     アサマシジミ ♂ 2017/06/20