稲妻を捉える - イナズマチョウ -

台湾の数ある蝶の中でも、イナズマチョウはその独特の色合いと紋様で、特に印象の強い蝶だ。中国大陸のクロオオムラサキとは属が違うほどに類縁の離れた仲間だが、擬態関係にあるわけでもないのに、翅の紋様のパターンが極めて似ていて、典型的な平行進化の一例と言えるかもしれません。

 タテハチョウのなかでも、イナズマチョウの仲間は、胴体が太く、翅を動かす筋力は蝶類のなかでもピカ一ではないでしょうか。

 白水図鑑でも、「いずれの産地にもすくなく、飛翔迅速で捕獲は困難である」と書いているように、この蝶が撮影できるポイントは台湾でも少なく、おまけに、その強い飛翔力で、採集も撮影もかなり難しいといわれています。

 台湾国内のカメラマンたちは、フトオアゲハに次いで、この蝶の撮影を毎シーズンの楽しみにしているようですが、出会うのはやはり運次第ということかも。

 ブログ主は、ちゃんとしたカメラを持っていく前に、HDビデオで台湾の蝶を撮っていたことがありますが、その時に台北の同好者の案内で台湾中部に出かけ、最初に写したのが、なんとこのイナズマチョウでした。ピカピカの堂々たるメスで、こんなに簡単に撮影できるなら、いつでもシーズンになれば写せる蝶かと思っていたら、2度目に撮影できたのは結局それから8年も経った昨年のことでした。いいシーズンにタイミングよく出会えなかったせいもありますが、やはり一筋縄ではいかないということですね。

 

 昨年は、イナズマチョウを何としても写したいと考え、タイミングを計って台湾に出掛けました。時期的には若干遅く、♂はかなり傷みがあり、♀もスレ個体が数頭現れただけでしたが、それなりに撮影できたので楽しい撮影行となりました。

 

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暗い林床の地面に吸水しに現れた♀

 

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何かの排泄物があったものか、この場所にしばらく執着していた。

 

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軽く飛んでは、近くにまた止まる。

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こんな動きをしているときは、それほど素早く飛ぶわけではない。

 

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辺りが暗く、木漏れ日の強烈なスポットライトの中にいる黒い蝶を写すというのは、写真撮影としてはかなり厳しい条件。

 

 

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枯れ木を訪れたイナズマチョウ。この枯れ木にはワモンチョウも来ていた。

 

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一見キャッサバみたいな大きな葉に止まった♂が飛んだところを連射した。さすがにこうした飛翔は目にもとまらぬほど早い。まさしくイナズマチョウの面目躍如。

運よく真上に飛んだので、5枚にピントが当たったのを合成してみた。