炎天の季節を過ぎて - キベリタテハ -
7月以来、記録的な酷暑が続き、冬越しのタテハたちの行動にも大きな影響が見られました。クジャクチョウは、6月にはかなりの数が見られたので、今年は大発生かと思ったら、暑さのせいで活動を休止してしまったようです。
いつもなら、8月中旬ごろから、多くの個体が高原で吸蜜に忙しいはずですが、姿を見せたのはごく僅かでした。同じように、アカタテハやシータテハも活動を休止していたようですし、お盆過ぎには恒例のように姿を見せてくれるキベリタテハもまったく姿を現しませんでした。
今年は、キベリタテハの撮影は難しそうだな・・と半ばあきらめていましたが、台風9号と10号の二つが通過後、気圧配置が変わったと見えて、台風の置き土産の残暑は厳しいものの、沢山のタテハ類が一斉に活動を始めたようです。
キベリタテハも遅ればせながら、やっと姿を見せてくれました。
いつものポイントに着くと、ミヤマハンノキの梢にキベリタテハがいました。
一年ぶりの出会い。
黄色のふち取りと、チョコレート色の地色に瑠璃色の紋列。ユニークな翅の色に、何度見ても新たな驚きを覚えます。
何故か人工物が好きなようで、この日も、車から出した脚立にわざわざやってきて止まってくれました。
藪の間を盛んに飛び回ります。
止まった先には、すでに先客が。右がキタテハ。枝の左奥がシータテハ。
ミヤマハンノキの細枝から樹液が出ているようです。
後参のキタテハがキベリタテハの翅の上に馬乗りに・・・笑
前翅をグイっと持ち上げて威嚇するキベリ。
キベリタテハは結構気が荒く、他のライバルたちが集まってくる樹液の場所では我が物顔に振舞っています。
追い払われてもめげずにやってくるキタテハ。
何度も何度もキベリに追い立てられてしまいます。
賑やかな樹液食堂。ミヤマハンノキの樹液は、クヌギなどと違ってあまり特有の発酵臭が感じられません。それでも虫たちには絶大な誘引力があるようです。
小柄なキタテハ(左2頭)やシータテハ(右)は、キベリタテハが場所を開けるの辛抱強く待っていました。
午後、気温が猛烈に上がると、樹液食堂から移動して葉上に止まり・・・ ↓
葉の表面からクルリと裏返しになり、葉裏に隠れました。
恐らく日差しを避けて、暑さを逃れるための行動かと思われます。