2016年・ブログ未掲載シリーズ - ギンスジミツオシジミ -

 シリーズ3回目は、ギンスジミツオシジミです。

 前回アップしたキマダラルリツバメは蝶愛好者の間でも人気のある蝶ですが、生息地が限定的ということばかりではなく、尻尾を2本持っているという翅型の面白さも、蝶ファンの心を惹きつけるのだと思います。
 
 日本では尾が2本ある蝶は、キマルリただ一種だけですが、台湾には尾が2本どころか、3本もある蝶が4種類もいます。
 ミツオシジミと名付けられた蝶たちです。
 これら4種類のうち、低山地帯に生息するミツオシジミは、それほど数多いわけではありませんが、台湾全土に広く見られ、場所によっては多産するところもあるそうです。
 とはいえ、私はまだ見たことがありません。
 あとの3種(ヒメミツオシジミとララサンミツオシジミ、ギンスジミツオシジミ)は、いずれ劣らぬ珍品ぞろいで、森林性ということもあり、なかなかお目にかかることは難しいようです。
 
 この珍品のミツオシジミ3種のなかでもとりわけ希少といわれるのが、今回アップするギンスジミツオシジミです。
 この蝶は、台湾全土に記録はあるものの、確実に姿を見ることができるのは、現在のところ台湾南部の高雄近郊と、蘭嶼島の2か所が知られているだけです。

 蘭嶼島ではただ一か所、島西部にある小川の岸辺に沿って繁茂する植物群落(この植物の日本名は不明)のところで見ることができました。
 この蝶は、キマルリと同じように、幼虫がアリの巣中に運ばれ、アリから餌をもらって成長するそうで、環境のえり好みが厳しいことが、著しく個体数の少ない原因ではないかと言われています。


イメージ 2ギンスジミツオシジミ 左♀:右♂   蘭嶼島 2016/05/09
新鮮な♀のそばに♂がやってきた。
メスは3対の尾がきれいに揃っているが、♂は一部欠落しているようだ。

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ギンスジミツオシジミ ♂     蘭嶼島 2016/05/09
同じ♂ 銀色の入った複雑な模様が面白い。

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ギンスジミツオシジミ 左♀:右♂     蘭嶼島 2016/05/09
蝶が止まっている植物との距離は5メートルぐらい。
コツバメぐらいのサイズなので、ズームで引き寄せて写すのに苦労した。

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ギンスジミツオシジミ ♂     蘭嶼島 2016/05/09
やや近くに来たところを何枚か撮ることができたが、それでもこれが精いっぱいだった。
この蝶は、この厚みのある大ぶりな葉を茂らせたこの樹で発生している。
幼虫は卵から孵化後、数齢を過ごした後、この植物に巣を作る特定のアリの巣に運ばれて育てられるという。



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              コウトウシロシタセセリ       蘭嶼島 2016/05/09
       このセセリもまた蘭嶼島の特産種。花はホナガソウ。

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              コウトウシロシタセセリ       蘭嶼島 2016/05/09
       キシタシロチョウ同様、数は多くないが、海岸林そばの草地で吸蜜していた。


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夕暮れの蘭嶼島    2016/05/10
人家の明かりも少ない孤島は、暮れなずむ紫色の光を残しながら、闇に沈んでいく。