念願の二口渓谷・ウラジャノメ!

 仙台赴任以来、長年の懸案だった宮城県・二口渓谷のウラジャノメに、ついに遭遇しました。
 まずは、奇しくもちょうど4年前の今日、このブログに書いた記事をぜひご覧いただきたいと思います。

 ↓ これです。(下記を右クリックして「リンクを新しいウインドウで開く」を選択)
https://blogs.yahoo.co.jp/mustache55/31949620.html




 一度は、真夏の炎天下、片道3時間もかかる二口峠を往復し、またある時は、ふみ跡しかないような朧げな険しい山道のブッシュをかき分けて、宮城・山形県境の小東峠にまで足を延ばして、このマボロシと言われる宮城・ウラジャノメを探してきました。しかし、やはりマボロシの・・と言われるのも当然。なかなかその姿を見せてはくれませんでした。

2015/07 小東峠から、山形のウラジャノメ生息地を望む
ふみ跡の険阻な山道がブッシュの中に細々と続く、上級者向けのコースで、地元のごくわずかな山好きだけがこの地域に足を踏み入れる。


 そんな苦労が報われぬまま、数年が経過した昨年夏、久しぶりに二口渓谷でウラジャノメが採集されたとのうわさを聞きました。

 ああ、やっぱり、宮城側にもウラジャノメは生息している!

 最新の消息が明らかになった以上、何としても撮影したいという思いは一層募りました。
 今年になって、また一頭が採集されたとの話があり、先週になって蝶友Fさんが、一頭を目撃。さらに土曜日には蝶友のAさんが付近を探索中、一緒にいた同好の方が、ウラジャノメを撮影したという報告がもたらされました。同時刻、近くにいたAさん自身はウラジャノメを見ることができず、撮影されたKさんのカメラの画像を見ただけだったということでした。
 土曜日には、私も二口渓谷に行っていたのですが、全く何の気配もなかったので、ウラジャノメがだめならツマジロウラジャノメでも・・と考えて、別の場所に移動していました。
 

 今日は、晴れて暑くなる予報。
 友人のK君(撮影者のKさんとは別人 w)と二口渓谷に向かいました。

 撮影されたという場所付近をしばらく探したものの、やはり肝心の蝶の姿どころか、気配すら感じることができません。
 お昼近くになって、一台の車が現れ、K君が話しかけたところ、その方が土曜日にウラジャノメを撮影されたKさんであることが判りました。
 撮影の経緯や、状況などを伺いながら、歩いていたところへ、現れました!
 茶色のヒカゲチョウのような、しかし飛び方はゆっくりひらひらの、しかし明らかにジャノメの一種が。
 まるでKさんがこの蝶を誘い出したかのように、私には思われました。

 その蝶は、一旦林道近くまで飛んで、Uターンをして渓谷側に飛び去ろうとしましたが、途中のハシバミの葉上に止まりました。
 震える指先で、ピントを合わせ、シャッターを切りました。

ウラジャノメ ♀  二口渓谷
とうとう私の前に姿を見せてくれた「マボロシ」のウラジャノメ。
トレードマークが、表翅に並んだ特徴的な黒い丸斑列。
すでに翅の鱗粉は擦れ、かなり傷んでいた。

ウラジャノメ ♀ 二口渓谷


ウラジャノメ ♀  二口渓谷
風にあおられて、裏翅が見えた。
この地のウラジャノメの最大の特徴と言われる広い後翅白帯がはっきりと分かる。

      ウラジャノメ ♀  二口渓谷
      この蝶は、しばしば翅をV字型に開く。
   スポット状に落ちた光が透けて、だいぶ飛び古した♀のように見えた。


ウラジャノメ ♀  二口渓谷
一部葉被りだが、裏面後羽の白帯の特徴が良くわかる。

ウラジャノメ ♀  二口渓谷
向きを少し変えたと思ったら、次の瞬間には渓谷のはるか下方に飛び去って行った。
この間、約20~30秒ほど。
あっという間の出来事だった。

この蝶を誘い出すように、私の前に現れたKさんに感謝です。
どうも有難うございました。






ウラジャノメ 本州中部亜種 2016/07/25 長野県・霧ヶ峰高原
ちなみに、これが本州中部産。
残念ながら、裏面の良くわかる画像がなかった。汗;
この蝶は人間の気配に非常に敏感で、沢山生息するポイントでもなかなか撮影が難しいものの一つです。
ちらりとわずかに見える後翅裏面の白帯が細く、帯というよりは線状です。