ギフチョウの旅 2  今年のギフ・総まとめ w



晴天に恵まれたGWも終わり、春は駆け足に通り過ぎようとしています。
すでに山野は新緑に覆われ、初夏へと歩みを進めているようですね。
この辺で、今年のギフをまとめておこうと思います。




新潟・上越長岡市) 4月18日~19日

上越のNさんの案内で、東京のMさん、Kさんと共に、「新潟では普通種」と言う名に恥じない豊かな発生地で、今年初のギフチョウをたっぷり堪能させていただきました。

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2015/04/19 長岡市

曇り空のため、画面全体がコントラストの弱い、うす暗い感じになってしまいましたが、かえってカタクリの色が落ち着いた色でしっとりと美しく写りました。
ここでの画像はすでにアップ済みなので、一枚だけ・・・ 汗;




山形・庄内(鶴岡市 2015年04月23日

深雪地帯に適応して日本海側を北上したコシノカンアオイを追って山形で繁栄しているギフチョウたちを見に、仙台の蝶友・Fさんと出かけました。
予想を裏切って、ここにはコシノカンアオイは生育せず、ウスバサイシンに取りついている個体群でした。
私たちが撮影中、地元のカメラマン(チョウ専門ではないと仰っていました)が撮影に訪れただけで、ゆっくりとギフの撮影を楽しむことが出来ました。

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2015/04/23 鶴岡市
この写真では色合いが微妙ですが、新鮮な♂は黄色にやや緑がかった明るいクリーム色で、とても美しい個体が多いように感じます。

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2015/04/23 鶴岡市
キクザキイチリンソウで吸蜜する♂
ギフ類はカタクリの豊富なところではカタクリ専一かと思っていたら、キクザキイチリンソウにも吸蜜に来るのを初めて見ました。
やはり、青い色に惹かれたようです。
残念ながら、花の中に首を突っ込んでいる画像だけ。
身体全体を出したときに、カメラの操作が間に合わず。涙;
同行のFさんは、フルサイズでバッチリと見事な写真をものにされたご様子です。

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2015/04/23 鶴岡市
ウスバサイシンの新芽に産卵している♀
交尾嚢の形態から、前足を葉のへりに掛けて体軸を斜め~垂直にして産卵するギフチョウの場合、ウスバサイシンが葉を水平に展開してしまうと産卵姿勢がとれなくなります。
そのため、ギフチョウがウスバサイシンに産卵できるのは、ウスバサイシンの葉が垂直に立っている若芽の時、または垂直な傾斜面がある成葉に限られます。



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2015/04/23 鶴岡市
別の産卵♀。
上方から撮影すると、産卵中の卵が見えた。

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2015/04/23 鶴岡市
真珠のようなギフチョウの卵 ・・・ 美しい!

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2015/04/23 鶴岡市
午後の日も傾き、ひとしきり吸蜜をした後、ねぐらの笹薮に翅を休める♂





山形・最上(大石田町 2015年04月25日 

最近、マクロから超望遠まで撮影可能な最新鋭の世界初・照準器付きのSTYLUSを購入した友人が、花と蝶の写真を撮りたいというので、一緒に山形のギフ・ヒメギフ混生地に出かけました。
混生地の近くにお住いのHさんに現地情報をお聞きし、今年は大量の深雪にもかかわらず融雪が早く、いつもより早く発生し始めたということで、例年の一週間も早めの訪問となりました。

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2015/04/25  山形・大石田町
カタクリの群落で吸蜜する羽化直後のギフ♂
強い陽射しがスポット状にあたり、背景の空間が抜けた

この場所は、狭い谷筋の斜面に発達したウスバサイシンの生育地で、10年ほど前まではヒメギフチョウの単独発生地でした。ギフチョウが発生するコシノカンアオイが生育する河岸段丘は沢を隔てた別の山域で、また、ヒメギフの発生時期とは10日から2週間ほどのズレがあったため、せまい山域ではあっても、同じ空間にギフとヒメギフが混飛することはなかったのですが、いつのころからか、ギフ・ヒメギフの雑種世代が出始めるようになると、発生時期の隔たりがなくなり、ヒメギフ♂の交尾嚢を付けたギフ♀が、葉を水平に展開したウスバサイシンにも容易に産卵するようになり、ギフとヒメギフが混在して飛ぶことが多くなりました。
このようにして、大石田の混生地では、ますますギフ・ヒメギフの種間障壁が取り払われているようです。

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2015/04/25  山形・大石田町
ギフ♂にヒメギフ♂が絡んで交尾を誘っている。
♂同士で交尾できず離散するまでの間、ばたばたと動き回るので、ピントを合わせることが難しかった。汗;

通常、交尾器の形態から、交雑が可能なのは、ヒメギフ♂×ギフ♀の組み合わせだけとされていますが、雑種化がすすんでいるここでは、ギフ♂×ヒメギフ♀の組み合わせも可能になっている雑交個体が出ている可能性もあります。また、どの個体も限りなくギフに近いヒメギフ、限りなくヒメギフに近いギフといった混じり具合になっていて、純粋なギフ、ヒメギフはどれだけいるのかと思わざるを得ません。笑

ただし、一説には、どれほど雑交が進んでも、結局は雑種個体は淘汰されて純粋なギフ・ヒメギフだけが残り、その間、F1、F2などは生じるが、結局は種としてはそれぞれが隔離されるとみる研究者もいます。

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2015/04/25  山形・大石田町
ヒメギフチョウ♀  交尾嚢の形態は確認できず。


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2015/04/25  山形・大石田町
ギフチョウ
これも背景が綺麗に抜けて撮れました




新潟・中越南魚沼市 2015年5月3日~4日

GWは、またもや新しいカメラで蝶を写したいという友人を誘って、ギフチョウの本場、越後を訪れました。
4月は長岡で撮影しましたが、今回は時期的に2週間も経過しているということで、より内陸の豪雪地帯のギフ棲息地に出かけました。ポイント情報は上越のNさんから教えて頂きました。おかげさまで、新鮮なギフチョウたちとであうことが出来ました。Nさん、どうも有り難うございます。

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新潟・南魚沼市 2015/05/03
朝9時前に現地到着。
さっそく一頭の♂が我々を出迎えてくれました。
右半分の枯れた笹などは意図的に入れてみましたが、絵のバランス的にはどうなんでしょう・・・ 汗;

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新潟・南魚沼市 2015/05/03
おなじみ、カタクリでの吸蜜風景

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新潟・南魚沼市 2015/05/03
おなじみ、飛翔風景 汗;

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新潟・南魚沼市 2015/05/03
真夏を思わせる強い日差しの下、訪花することなく飛び回るギフ
露出が背後の暗い林に合っているため、手前のギフとカタクリは白く飛んでしまった。汗;

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新潟・南魚沼市 2015/05/03
こんな飛び写真も撮れました  キビタキです。
近くでは、ヤマガラの巣がありました。

このポイントには、関東から来たという二人の採集者がいて、私たちが一通り撮影を終えた後も、トラップを仕掛けて盛んにギフチョウを採集していました。
翌日の午前中に、同じポイントで待機しましたが、ギフはたった3頭見かけただけですっかり空にされていました。
撮影地の上部がメインの発生地になっていて、そのあたりはまだ残雪に覆われて、この場所の最盛期はこれからのようです。
しかし、かなりの部分で杉の植林行われているようで、あと数年もすればこの場所のギフは大きく住処を狭められると思われました。

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新潟・南魚沼市 2015/05/03
吸蜜を終え、飛び立とうとするギフ♂





新潟・下越阿賀町) 2015年5月5日

南魚沼のギフチョウを撮影した後、次は阿賀町を目指しました。
ところが、峠を越えると風景は一変、それまで深々とあった残雪が跡形もなく消えていて、フジの花などが咲く初夏の風景です。
これでは、ギフがいても破損した蝶ばかりだろうと推測し、まずはとりあえず近くの食草を探してみました。
藪に踏み込んですぐに、コシノカンアオイが生えている斜面を発見。

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新潟・阿賀町 2015/05/05
この叢株の3枚の葉にギフチョウの卵があった。


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新潟・阿賀町 2015/05/05
一枚の葉に別々に産卵が行われたらしい

この場所から移動しようと車に戻ると、同行の友人が何やらわぁわぁ騒いでいる。
何かと思ったら、靴に4cmほどの山ビルが付いていた。
そいつを取り除いて、さあ安心とばかり、車に乗り込んだのは良かったが、自分のズボンをみると、2cm程度の小さな奴が数匹、靴下の中に侵入しようとしていた。
二人とも、その場で靴と上下の衣類全てを脱いで着替え、脱いだものをすべてビニール袋に封入した。
幸い、発見が早かったので、献血しないで済みました。笑




新潟・下越胎内市 2015年5月5日

阿賀に見切りをつけ、急きょもう一つ北側の峠を越えた胎内市に行くことにしました。
この場所は、発生地が民家のすぐ近くにあります。
民家の裏庭みたいなところに、ギフが飛んできますが、ここでも季節は進んでいて、なんともうウスバシロチョウが飛んでいました。
ここもギフは遅かったかと思っていると、目の前にギフチョウが飛んできて、あたりに咲いている背の低いカキドオシの花に止まりました。
カキドオシに来るギフチョウを見たのは初めてです。w
近くにあったムラサキケマンでも吸蜜していました。

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新潟・胎内市 2015/05/05
高台から胎内市を望む。
ギフチョウは、この辺り一帯に広く生息しているようだ。

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新潟・胎内市 2015/05/05
カキドオシの花で吸蜜するギフ♂


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新潟・胎内市 2015/05/05
こちらは外来種ヒメオドリコソウ
紫色の花で蜜があるならなんでもいいらしい 笑

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新潟・胎内市 2015/05/05
スギナの野原を飛び古しの♀が行く
これもわたしにとっては珍しいギフの風景ですね~ w

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新潟・胎内市 2015/05/05
背丈の低い草の間をかき分けて、転げるようにしてカキドオシの花を渡り歩いていた

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新潟・胎内市 2015/05/05
よくある吸蜜風景ですが、カキドオシという草の姿も相まって、なかなかいい雰囲気。

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新潟・胎内市 2015/05/05
この時期に、まだ新鮮なピカピカの♂がいた。
よほど食草に恵まれていたと見えて、かなり大きめ。
背景が抜けて、すっきりとした絵になった。w



結局、4月半ばに上越を訪れたのを皮切りに、5カ所のギフチョウを訪ねて歩きました。
こうしてあちこちを歩いてみると・・・やっぱり
ギフチョウは、どこで、何度会ってもいい蝶ですね~。 w