今年最後のターゲット - ツマジロウラジャノメ -

 秋の気配が感じられる朝夕。
 野山の蝶たちは、第2化発生の夏型の季節もそろそろ終盤に近くなってきました。
 
 そんな年2化の蝶の中で、仙台近辺では特に撮影の機会がないツマジロウラジャノメ。
 かつては林道の側面に切り立った崖地や露岩地にポツポツと発生地があって、いまほど超レアな蝶ではなかったそうです。
 しかし、崖崩れ防止のため、そうした崖や露岩地にはコンクリートの吹き付けが行われ、小石一つ落ちない「安全」な道に整備された結果、この蝶は多くの発生地から姿を消しました。
 不思議なことに、そうした人為が及ばない懸崖の発生地でもこの蝶は消滅しているようです。
 仙台で長年蝶の調査を続けておられる方が、ツマジロは宮城県でいま一番出会う機会が少ない蝶の一つになってしまった、と残念そうに話していました。
  
 それでも、どこかでまだ細々と生き残っている場所がないものかと探してきました。
 今年の7月に、県北で一頭が採集されたという話をきいて、特に詳しいポイント情報があるわけでもなく、国土地理院の地図を頼りに、生息していそうな地形の場所をプロットして行き当たりばったりの探索です。廃棄されかかった林道を訪ね歩く中で、先日、やっとツマジロウラジャノメの姿を見つけたときは小躍りしたいような気持になりました。

 私の前に現れたは後翅の右側が大きく破損していましたが、今回、発生地を確認できたことだけで十分満足です。
 これでまた、来年以降ツマジロに会える楽しみができたという訳で。笑


ツマジロウラジャノメ♀ 2017/09/15
5年ぶりに私の目の前に現れたツマジロウラジャノメ。
残念なことに、右後翅が大きく欠損していました。

ツマジロウラジャノメ♀ 2017/09/15
左側の翅は完全ですが、この蝶のチャームポイントの一つ、白い縁毛がだいぶ薄くなっています。

ツマジロウラジャノメ♀ 2017/09/15
ズームでやや引き付けてみました。

              ツマジロウラジャノメ♀ 2017/09/15
              ノコンギクで吸蜜する。
              この蝶は、ウラジャノメとは違って、花によく来るので生息地では見つけやすいと言われますが。

ツマジロウラジャノメ♀ 2017/09/15
ジャノメの配列と白い帯の複雑な紋様はなんとも言えない品の良さがありますね。
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