10月台湾撮影記4  - アリサンシジミタテハ-

 10月台湾撮影記5回目は、アリサンシジミタテハです。
 名の通り、シジミとタテハの両方の名前を持った興味深い蝶ですが、残念ながら、シジミタテハの仲間は日本には生息していません。
 それゆえ、台湾には別亜種を含め3種類もいるのはうらやましい気がします。
 タテハでもあり、シジミでもある、という蝶の形態・生態上の興味も湧いてきます。
 
 昨年、霧台でシジミタテハの南部亜種・エサキシジミタテハを初めて見ましたが、テリトリーを張って猛スピードで追撃に飛び出す様子は、まさしくタテハチョウとゼフィルスを足して2で割ったような敏捷な蝶でした。
 岩石累々たる懸崖の周囲に生える森林に依拠するアリサンシジミタテハは、台湾の3種の中でも発生地が限られ、台湾の蝶愛好者の垂涎の撮影ターゲットだそうです。日本の蝶で例えれば、ヤリガタケシジミとかクモマツマキチョウのような撮影者の欲求をくすぐる存在です。
 最も知られているのが、埔里周辺、谷関、拉拉山などです。


日月潭 2017/10/18
埔里から南部へ向かう途中にこの美しい湖がみえる。
ちょうど朝日が昇りはじめたところ。
有名な避暑地で、日本人観光客が必ず訪れる観光名所。
台湾に出かけても、いつも蝶が目的なので、こんな有名な観光地のそばを通るのもこれが初めてです。笑


 撮影に出かけた場所は、台湾の最高峰・玉山の登山道の一つにあり、このコースは、標高800mほどの登山口から一気に4000mの標高を稼ぐ、日本の山岳でいえば穂高剣岳並みの険しさが丸々2日間も延々と続くようなハードなルートだそうです。
 この長大で険しいルートの入り口から約4㎞ほど入ったところが断崖周辺の森林を好むこの蝶のポイントでした。

イメージ 2
台湾最高峰・玉山につづく水平道。
斜度60度以上の急斜面をえぐるようにしてつけられた登山道が奥に伸びている。

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ポイントに案内してくれたLさん
父子断崖と呼ばれる険阻なルート上に掛けられた水平道の途中で。

     アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
     断崖が途切れ、林の茂ったあたりで水を引く工事が行われていた。
     一頭の♂が、工事で敷設された水道管の上に舞い降りて来た。

アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
別の非常に新鮮な個体。
なぜか、この水道管が好きらしい。
管のつなぎ目のところで口吻を伸ばしていた。

アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
スポット状に当たった葉上に静止。
すこしスレ気味だが、十分に綺麗な個体です。

アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
登山道からかなり下の藪の葉上でテリを張っているように見える。

アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
これはやや破損気味ですが、
逆光にくっきりと浮かび、日の光を透かした茶色が美しい。

アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
翅を全開した。
タテハともシジミともつかない独特の斑紋パターン。
飛び方はタテハ並みに敏捷で、なかなか近距離で撮らせてもらえない。
片方の翅がほんの僅かスレ気味だが、とても新鮮な感じがする個体だった。

アリサンシジミタテハ 2017/10/18 東埔
飛び立つのを待って連写した。
若干甘めのピントになってしまったが、画像を合成してみた。


イメージ 3
 この辺りは、東南アジアでも最危険種の一つと言われるスズメバチ・虎頭蜂が沢山いる場所だそうで、コンビニのランチを食べている最中、サラダのドレッシングの香りに引き寄せられた真っ赤な色をしたデカいのが現れ、肝を冷やしました。汗;