サクラソウとウスバシロチョウ - 冬眠シリーズ5 -

 サクラソウは、江戸時代から日本の古典的園芸植物の代表ともいえる美しい草です。
 春先には、どこの園芸店でも、廉価な値段で売られていることが多く、栽培種としてのサクラソウは珍しくもないのですが、これが野生となれば、事情は若干違います。
 野生の原種サクラソウは、現在では美しい草の例にもれず、愛好者に採り尽くされてしまい、いまや環境庁が絶滅危惧植物(絶滅危惧Ⅱ類)とするほどに少なくなってしまいました。

 この希少な日本サクラソウが、仙台近郊の低山地帯にはまだわずかながら自生します。
 これまで蝶友のFさんに案内してもらい、その何カ所かを尋ねたことがありましたが、園芸店の鉢に植えられた栽培種とは違った野趣と風情にみちた本来の美しい姿に感銘をうけました。
 やはり野に置け「サクラソウ」   笑

イメージ 1
仙台市近郊に自生するニホンサクラソウ

 昨年、いつもウスバシロチョウを撮影しに出かけるポイントで偶然、このサクラソウを見つけました。
 ウスバシロチョウは、ちょうど出初めで、綺麗な♂がたくさん飛んでおり、羽化したばかりの♀と交尾しているつがいも見かけました。一頭の♂を追いかけていくと、それほど広くもない草むらにうずもれるように、綺麗なピンクの花が目につきました。こんなところでサクラソウが自生していたとは!
驚きながらも、あたりを探してみると、やや貧弱な株も数株見つかりました。
 こんな人家の近くで、誰にも見つからずにひそかに花を咲かせていたとは、奇跡みたいなものです。すでに、花の盛りは過ぎて、ほとんどしおれかかっていましたが、花の近くにとまったウスバシロチョウとのツーショットを撮ることができました。