夏の思い出 2 - ヒメヒカゲ-

 上高地に行くついでに、塩尻の高原に立ち寄りました。
 ここは、山頂部に広い草原が広がり、今ではすっかり珍しくなってしまったヒメヒカゲがいます。
 この蝶の棲息地は、長野県では、この場所と霧ケ峰のごく狭い場所の2カ所だけになってしまいました。
 環境庁の絶滅危惧のランクⅠBに指定されています。
 
 車でぐんぐん高度を上げてたどり着いたところは、360度の視界が広がる別天地。
 草原の小道をたどりながら、ヒメヒカゲを探しますが、似たようなサイズのヒメウラナミジャノメばかりが目につきます。
 別方向で探していたFさんから電話。
 「今2頭います!」
 大急ぎでそちらに移動していくと、何か異様な臭いが・・・・
 Fさんが、シカの死体があって、そこにヒメヒカゲが誘われているようだ、とのこと。みると、若いシカの頭部と、近くに何者かが食い散らかしたと思われる内蔵がありました。臭いはこの死体だったようです。
 近くを探すと、ヒメヒカゲがいました。とても新鮮な個体です。
 
 例年ならばこの時期、この場所のヒメヒカゲはシーズンの終わりが近く、古びた個体が多くなっているのですが、今年は発生が遅れて、現れる個体はみな新鮮なものばかりでした。
 丸い翅と、翅裏の眼状紋がとても愛らしい蝶ですが、かなり悪食で、こんな腐肉や獣糞などを好んで訪れるようです。
 
シカの死体近くに現れた新鮮な♂
 
臭いに誘われて、近くの草で羽を休めていた。
 
翅裏の可愛い斑紋に比べて、翅表は全面黒褐色であまり面白みはありません、が・・
まったく鱗粉のカスレも傷もない、ほぼ完璧な個体です。これはこれで美しい。
 
広角で、草藪すれすれに飛ぶ姿を追っかけました。
 
タヌキかアナグマでしょうか、糞の団子で吸汁する♂。
 
この近くに糞があちこちに転がっていて、ヒメヒカゲも数頭見られました。
 
糞の丸みと、蝶の丸みが相互に程よい大きさで愛らしく(笑)、汚れた感じがあまりしないのが不思議。
 
  側面から飛翔を狙うと、ピント外れは少なくなりますが、翅の片方だけが写る画像が多くなります。
 
若干傷が見られるものの、この時期にしては新鮮で美しい個体です。